独自支援中心に2・8億円追加 新型ウイルス対策補正可決 大船渡市議会臨時会

▲ 新型ウイルス対策を盛り込んだ補正予算を起立全員で可決

 大船渡市議会臨時会は4日に開かれ、新型コロナウイルス対策を盛り込んだ一般会計補正予算を可決した。規模は2億8470万円で、医療機関や障害福祉サービス事業者、介護保険指定事業者への継続支援金やバス・タクシー事業者への維持支援金に加え、消費喚起策として全世帯に1万円分を配布する「ふるさと振興券」事業、宿泊観光回復助成費などを計上。振興券配布は9月中旬を見込んでいる。

 

1万円分振興券、宿泊回復事業など

 

 議案は一般会計補正予算のみで、歳入歳出にそれぞれ2億8470万円を追加し、総額はそれぞれ280億4570万円となった。補正措置は、本年度5度目となる。
 新型ウイルスに関する独自支援事業は▽事業継続支援金1170万円▽地域交通維持支援金450万円▽地域消費喚起促進業務委託料1億7000万円▽新連携事業創出支援事業費補助金3000万円▽宿泊観光回復業務委託料5200万円──で、各小中学校における感染拡大予防用品購入経費1650万円も計上した。
 事業継続支援金はこれまで、宿泊業や飲食店、製造業、建設業など、売り上げが下がった事業者に一律30万円を給付。感染リスクを恐れて医療機関の通院控えや、介護保険サービス(通所系、訪問系)の利用自粛、障害福祉サービスの就労継続支援における生産活動機会の減少などによって苦しむ事業者への支援策として、対象を広げた。活動縮小などを余儀なくされているNPO法人も加えた。
 交通事業者向けの地域交通維持支援金は、バス1台当たり10万円、タクシーは同3万円をそれぞれ支給。緊急事態宣言などを受けて公共交通利用者が減り、事業継続にも影響を及ぼしている状況を受け、車両維持などの経費を支援する。
 新連携事業は、「新しい生活様式」や生産・消費活動の変化に対応した新たな経済活動、業務・サービスのデジタル化対応などを支援。市内事業者で構成するグループのソフト事業を対象に、経費の75%、上限300万円を補助する。対象経費は6月19日からの事業にさかのぼって適用できる。
 地域消費喚起策のふるさと振興券は、新型ウイルスの影響を大きく受けている飲食店や小売業、サービス業の売り上げ確保に向けた消費喚起に向け、全世帯に1万円分(500円券20枚)を配布。利用店舗は公募し、原則として店舗面積が500平方㍍以下の小規模店舗に限定する。
 各世帯には9月中旬以降、簡易書留で送付し、利用期間は12月末までとなる方針。議員からは、人数ではなく世帯単位での送付とした理由を尋ねる発言があり、当局側は早期の経済効果を見据えてすみやかに配布する重要性を強調し、理解を求めた。
 また、観光客宿泊助成事業として、市内の宿泊施設を利用する県内からの観光客や市民を対象とした補助事業も創設。市内の宿泊施設を利用する県内からの観光客に宿泊料金4000円分と、市内飲食店で使える1000円分のクーポン券を交付。市民が宿泊する場合は、宿泊のみとなり、助成額は5000円となる。
 9月1日(火)からの運用開始を見据える。当局は計1万泊分の財源をみている中、議案審議では議員から住民らが使いやすい申請や、宿泊先での対応を求める声が挙がった。
 補正予算の財源は、国庫支出金が1億8159万円で、財政調整基金からの繰り入れ金が1億312万円となっている。
 これまでの新型ウイルス対策に伴う同基金からの繰り入れは約9億円。今回の国庫支出金に加え、国の2次補正により約5億8000万円の臨時交付金を見込んでいる。