〝まちの顔〟に栄誉 公共建築賞・優秀賞を獲得 地元材使用した住田町役場

▲ 公共建築賞・優秀賞を受賞した住田町役場

 一般社団法人・公共建築協会(春田浩司会長)が主催する第17回公共建築賞で、住田町役場が「公共建築賞・優秀賞」に選ばれた。外観の美しさだけでなく、内外装に地元木材を使用した木質庁舎となっていることや、地元主要産業の振興への貢献、積極的な自然エネルギー利用などが評価された。町関係者は、〝まちの顔〟ともいえる庁舎に与えられた栄誉を喜ぶとともに、「木のまち住田」推進へ向けて意欲を高めている。

 

産業振興への貢献など評価

 

 公共建築賞は、公共建築の総合的な水準の向上に寄与することを目的としたもの。同協会の創立20周年を記念して昭和63年から建設省(現・国土交通省)、全国知事会などの後援を得て、1年おきに実施している。
 対象となるのは国の機関、地方公共団体または政府関係機関、これらに準じる機関が施行した公共建築、公共性の高い建築としており、完成後3年以上経過したもの。今回は平成24年4月から平成28年3月の間に完成した公共建築が対象となった。
 「公共建築賞・優秀賞」は、全国から応募のあった88点の公共建築について、全国九つの地区事務局に設置されている地区審査委員会において昨年10月から1次審査を開始。書類、現地調査の結果、住田町役場を含む32点が同賞審査委員会(協会本部)に推薦され、優秀賞に決定した。同賞受賞は東北地区で5点、本県では住田町役場のみとなった。
 今後、「行政施設部門」「文化施設部門」「生活施設部門」のそれぞれにおいて、2次審査が行われる。
 このうち、行政施設部門では、住田町役場、福島県の国見町庁舎、富山県の氷見市庁舎、兵庫県の太子町新庁舎、島根県の雲南市役所新庁舎、愛媛県の鬼北町庁舎の6点の中から最優秀賞が選ばれる。審査は来春以降となる見通し。
 現庁舎は、昭和33年落成の旧庁舎の老朽化や庁舎機能の分散、平成23年の東日本大震災での経験などを踏まえ、24年度から建設事業をスタート。ワンストップサービスの実現化、防災の拠点、住民交流の場となるよう整備した。
 木造2階建ての施設で、敷地面積は7881平方㍍、建築面積は2419平方㍍、延べ床面積は2883平方㍍。事業費は12億4859万8800円。
 森林・林業日本一の町を目指す住田らしく、町産材や地元で製造、加工された木材をふんだんに使用。国内初の実用化となるラチス耐力壁や広い空間づくりを可能にしたトラス梁、気仙大工の技による鎧張の壁、町民から寄贈されたスギの象徴木などが特徴で、冷暖房用の木質ペレットボイラーは県内初の導入となった。
 神田謙一町長は「優秀賞という名誉ある賞をいただき大変うれしく思う。住田町役場は、大船渡消防署住田分署とともに『森林・林業日本一のまちづくり』を推進するのにふさわしい建物だと考えている。今後も町民の方々を含めた多くの人に親しんでもらえるよう『木のまち住田』を推進していきたい」と話している。