概算総事業費は47億円 令和4年度の竣工目指す 第一中学校の改築基本設計

 大船渡市は、来年度の着工を目指している第一中学校校舎・屋内運動場の改築基本設計をまとめた。現校舎は築58年が経過して老朽化が著しい状況を踏まえ、現在の校地内北側に鉄筋コンクリート4階建ての新校舎と屋内運動場棟を新たに整備する計画で、概算総事業費は47億円。本年度内に実施設計をまとめ、令和4年度内の竣工・移転を目指す。

 

 

 立根町に構える第一中校舎や屋内運動場は、昭和37年竣工。平成23年度と27年度に耐震補強工事を実施するなど施設維持を図ってきたが、建物や設備の老朽化が進む。さらに、近年は少人数指導や特別支援教室、コンピューター室の利用に加え、生徒数に対して屋内運動場が狭く、環境整備が求められている。
 同校には今年、日頃市、越喜来、吉浜の各学校が統合。学校統合協議会も、校舎や学校施設の早期改善を要望していた。
 こうした中、昨年7月には地区公民館や学校、PTAの各関係者20人で構成する建設委員会を設置。6回にわたり協議を重ねた。
 整備にあたっては、学習の習熟程度や興味、関心に応じた少人数指導に対応。バリアフリーへの対応や、生徒らが交流しやすい空間づくりも工夫する。さらに「開放区間」には、屋内運動場や武道場に加え、会議室や地域室も設け、地域コミュニティーの場としての利用も前提としている。
 新校舎は鉄筋コンクリート造4階建て。敷地東側の急傾斜地危険区域の影響を避けた位置とし、敷地北側にコンパクトに配置することで、建物の影が落ちにくく、広いグラウンドを確保する。正門は、スクールバスの運行と生徒の通学を考慮し、敷地南側に位置する既存の正門を活用する。
 普通教室は15室で、このうち3室は特別支援教室・少人数教室に運用可能。現在、同校は普通学級が1学年4学級となっている。さらに3室の多目的室に加え、技術室や美術室、理科室などの特別教室、ロッカースペースなども配備する。 
 校舎2~4階はグラウンドに面した南側に学年のまとまりを持つ「普通教室ゾーン」を、北側には「特別教室ゾーン」を配置。生徒、教職員、地域開放の建物出入り口を別々に設け、来校者と生徒との交錯が少ない計画とする。
 校舎周辺の地盤は、1㍍程度高く造成する計画。これにより、校舎1階の床の高さが1・5㍍高くなり、立根川の増水による浸水を防ぐなど、安全面に考慮した。
 グラウンドは、100㍍走路や200㍍トラック、野球場、テニスコート、サッカーグラウンドを配置できる広さを確保する。屋内運動場はバスケットコート2面を確保でき、さらにギャラリーは軽い運動や試合観戦にも対応でき、2階に位置する武道場とも行き来しやすい構造とする。
 概算事業費のうち、校舎・運動場整備工事費は38億円で、グラウンド整備や校舎解体工事に9億円を見込む。財源は国庫負担金・補助金が15億円、地方債が28億円、一般財源が4億円とみている。
 新たな学びの場としての整備に加え、復興期間終了直後の大型事業の側面も持つ。4日の市議会全員協議会では、説明を受けた議員から「地元発注に配慮を」といった発言が寄せられた。
 市では年度内に実施設計業務を計画。3年度から改築工事に入り、4年度中の竣工・移転を目指す。新校舎完成後の5年度に、旧校舎の解体やグラウンド整備を進めることにしている。
 校舎イメージ図は別掲。