高田自動車学校が最高賞 ECOアクションを表彰 温暖化防止いわて県民会議
令和2年8月7日付 6面

省エネの取り組みなど評価
県内95団体・機関で構成する「温暖化防止いわて県民会議」(会長・小川智岩手大学長)はこのほど、令和2年度「できることからECOアクション!」の受賞事業者を公表した。この中で、陸前高田市の㈱高田自動車学校(田村光代表取締役社長)が、最高賞にあたる「ECOアクション賞」を受賞。省エネや再エネにかかる最先端技術を結集させたドライビング・スクール校舎の建設や、人材育成などの取り組みが評価された。
同会議事業者部会では、エネルギー需要が高まる冬季の一斉行動として、省エネ・節電を促す取り組みを展開。県内事業所の優れた取り組みや、ユニークな取り組みを表彰している。
ECOアクション賞は、県内事業者をリードする模範的な事業者や、総合的に優れた取り組みを実施した事業者を表彰するもの。今回は、高田自動車学校を含む2事業者が選ばれた。
同自動車学校の取り組みでスポットが当たったのは、同校が平泉町で経営し、東日本大震災後に新築した平泉ドライビング・スクールの校舎。
木造2階建て校舎は、屋内と屋外の熱の流入、流出を防ぐ「高気密高断熱工法」で建設。断熱に適した建築材の選定や、特殊なガスを封入したトリプルガラスの採用、窓の外側へのシャッター設置など、世界的にも先進的な技術を取り入れた設計により、冷暖房のコストや二酸化炭素排出の大幅削減を実現した。
同自動車学校では、同工法の技術普及や魅力発信のため、若手建築関係者の教育や社員の知識向上に向けた活動にも力を入れている。このほか、太陽光発電による再生可能エネルギーの活用や、日常の使用電力を液晶画面等で可視化し節約につなげる意識啓発、エネルギー会社の創業など、さまざまな試みが高い評価を得た。
これらの取り組みは、岩手県中小企業家同友会の代表理事でもある同社の田村満会長(73)がけん引。同友会が毎年行う欧州の研究施設視察などを通じ、再生可能エネルギーで地域内自給をめざす「エネルギーシフト」に強い関心を持っていたという。
専門のアドバイザーや設計、建築業者の協力があり完成した平泉の校舎は、建築物の省エネ性能を第三者評価機関が評価し認定する制度「BELS(ベルス)」で三つ星認定も受けた。
開校から4年たった現在、快適な空間で運転免許取得に励むスクール生らを見る田村会長は「以前の校舎よりも落ち着いた雰囲気で、より勉強に集中できているようだ」と手応えを感じる。
今回の表彰について田村会長は「〝良い環境は良い人を育てる〟という考えのもと行ってきたことに対し、評価をいただきうれしい。われわれの取り組みが、エネルギーの効率的な運用や、人の幸せにつながる商売について考えるきっかけになってほしい」と話していた。