スポーツ拠点の完成祝う 現地で式典 高田松原運動公園(別写真あり)
令和2年8月9日付 7面
陸前高田市が整備した高田松原運動公園の完成記念式典は8日、現地で開かれた。東日本大震災で被災した旧高田松原公園を復旧させた施設で、同日、利用を延期していた第一野球場などを含む全面オープンに至った。この日は早速市内学童野球チームによる大会も始まり、関係者がスポーツを通じた交流人口拡大の拠点完成を祝い合った。
交流人口拡大に期待
式典は運動公園内の屋内練習場で行われ、関係者ら約100人が出席。戸羽太市長は、被災前の旧公園や市民との協働で復旧に向けて尽力してきた経緯に触れつつ「民間企業や団体などの支援で設備の機能強化が図られ、車いすの人でも利用可能となっている。プロスポーツチームの公式戦開催やスポーツ合宿の誘致で交流人口の拡大を図る。市民の心の復興に寄与する施設となることを願う」と式辞を述べた。
来賓の鈴木俊一衆議院議員は「一歩一歩復興に近づいているが、まだ終わりではなく、心の復興、生活の復興を目指さないといけない。この運動公園でも、心の復興が実現してほしい」と祝辞。寄付者や施工者への感謝状贈呈、代表者らによるテープカットも行われた。
同市とパートナー協定を結ぶ㈱楽天野球団は、両者の友好の証しとなる愛称がつく第一野球場「楽天イーグルス奇跡の一本松球場」の完成を祝い、記念品の贈呈も。奇跡の一本松にちなんだ背番号「1」の特別ユニホームで、戸羽市長が受け取った。
この日、一本松球場では市内学童野球スポ少5チームによる新人大会が開かれ、団員たちが広い球場で伸び伸びとプレーした。
高田野球スポ少の戸羽建太郎主将(高田小6年)は「新型ウイルスの影響で思うように練習できなかったけど、運動公園に僕たちの希望となる野球場ができた。この球場で活躍できるよう頑張る」と決意した。
同運動公園は、高田松原津波復興祈念公園内に位置し、敷地は約21㌶。事業費は約46億円で、平成30年3月に着工した。
野球場二つ、サッカー場二つに加え、天然芝の多目的広場、子ども広場、屋内練習場、ミーティングルームが入る。トイレは4カ所、駐車場は5カ所で、駐車台数は990台分確保した。
6月6日に第二野球場や第一サッカー場など一部施設の利用を開始。完成式典に合わせ、芝生養生などが進められていた第一野球場や第二サッカー場、東側芝生広場が利用できるようになり、全面オープンとなった。
感謝状受領者は次の通り。
▽寄付者=アディダスジャパン㈱、㈱川崎フロンターレ、㈱楽天野球団、プラス㈱、ホームプロヴァイド㈱、全日本軟式野球連盟、県野球協会、陸前高田ライオンズクラブ
▽施工者=県土木技術振興協会、池田建設㈱、㈱共立土木、㈱エイト日本技術開発、㈱佐武建設
第一サッカー場の愛称発表
高田松原運動公園
陸前高田市の高田松原運動公園完成記念式典が開かれた8日、公園内にある第一サッカー場の愛称が発表された。愛称は「川崎フロンターレ東北のカリフロニアフィールド」で、市と友好協定を結ぶサッカーJ1の川崎フロンターレ(川崎F)が公募した作品の中から決まった。
愛称のお披露目式は、同運動公園の屋内練習場で開かれた記念式典後に行われた。7月下旬〜8月上旬に川崎Fがサポーターらから愛称を募り、100近くの作品の中から市と協議したうえで決めた。
市と姉妹都市関係にあるカリフォルニア州デルノーテ郡クレセントシティ市との縁などにちなみ命名したもの。
愛称の由来などを紹介した川崎Fサッカー事業部の長谷川幸雄シニアディレクターは「陸前高田の皆さんと運動公園で楽しいスポーツイベントを開催していきたい」と意欲を語った。
第一サッカー場は人工芝で広さ1万1800平方㍍。6月6日に利用が始まった。