海中熟成コーヒーいかが 東京屋など新たな取り組み 広田湾で貯蔵の豆使用(別写真あり)

▲ 海中に沈めた豆を使ったコーヒーを味わう参加者ら

実際に海中に沈めたコーヒー豆の展示も

 陸前高田市の合同会社ぶらり気仙(鍛治川直広代表社員)と東京屋カフェ(小笠原修オーナー)は、コーヒー豆の海中熟成に取り組んでいる。広田湾内で貯蔵した豆を使いコーヒーの試飲会も開催し、市民らが味や香りの変化を確かめた。今後、同カフェで「海中熟成コーヒー」として数量限定で提供し、商品化も計画している。

 

商品化見据え試飲会

 

 試飲会は8日に東京屋カフェで開かれ、市民ら12人が参加。用意されたのは、瓶詰めして広田湾内に約8カ月間沈めた「ブラジル」「マンデリン」の2種類で、それぞれ生豆を海中熟成し焙煎(ばいせん)したコーヒーと焙煎した豆を海中熟成させたコーヒー、海中熟成させていない「ブラジル」「マンデリン」の計6種類を飲み比べた。
 海中に沈めた豆を使ったコーヒーは、酸味が増したり、独特の香りを放つなどいずれも通常のコーヒーとは違う味わいとなっており、参加者はじっくりと味わい、感想を述べ合った。
 国際協力機構(JICA)職員の菊池真美子さん(39)=盛岡市=は「冷めてからも味の変化があった。どれもおいしかった」と話した。
 ぶらり気仙は平成29年、地元海産物の認知度向上、地域経済の活性化を図ろうと、広田湾遊漁船組合(大和田晴男会長)とともに「広田湾海中熟成プロジェクト」を立ち上げた。
 海中は、安定した温度や潮の流れなどが酒の熟成を促し、まろやかな味わいにするとされ、湾内の養殖施設に地酒をつるす熟成体験サービスを観光客向けに提供している。今年6月からは、お好みの酒を約10カ月間海中に沈め、発送する熟成酒のネット販売も始めた。
 酒とともに、みそや米、ウメなどを試験的に海中に沈めて味の変化を調査しており、コーヒー豆もその試みの一つ。
 東京屋カフェは今回の試飲会を踏まえ、海中に沈めた豆を使ったコーヒーを9月にも数量限定で提供する予定。
 その後、豆の海中熟成を本格化させ、店頭やオンラインでの販売も構想する。
 小笠原オーナー(59)は「熟成させたコーヒー豆は、粘り気が出るなど違いが出ており、試飲会の参加者にもその変化を楽しんでもらえて良かった。今後どう展開していけるか研究していく」と意欲を語った。