明かりに希望を託して 灯ろう流し幻想的に キャッセン海灯フェスタ(別写真あり)
令和2年8月18日付 7面

大船渡市大船渡町のキャッセン大船渡エリアに位置する須崎川親水広場などで16日、「キャッセン海灯(うみあかり)フェスタ」が開かれた。供養の灯ろうがゆっくりと川面をすべるように流れ、幻想的な雰囲気に。来場者は先祖や震災犠牲者の冥福を祈るとともに、新型コロナウイルスの影響を受ける中でも人々のつながりを大切にする思いを共有した。
竹細工の祭壇も
市内有志で構成する海灯フェスタ実行委員会(新沼崇久委員長)が主催し、キャッセン大船渡(田村滿社長)と本増寺(木村勝行住職)が共催。東日本大震災の復旧・復興事業で生まれ変わった市街地で先祖や東日本大震災犠牲者の冥福を祈ろうと、一昨年、昨年に続いて企画した。
今回は新型コロナウイルス感染防止のため、来場者にはマスクの着用と手指消毒に加え、座席の間隔を確保。会場内では、検温チェックも行った。一方、一昨年と昨年はいずれも降雨に見舞われたが、今年は好天に恵まれ、屋外を中心に実施された。
キャッセン内の「千年広場」に設けられた祭壇には、市民らが製作した「竹灯り」やキャンドルライト、灯ろうがズラリ。周囲が夕暮れに染まると火がともされ、幻想的な雰囲気を演出した。
開会式で新沼実行委員長は「いろいろな明かりで、みんなの笑顔を増やしていきたい」とあいさつ。田村社長は「大変な状況だが、やはり希望がないと幸せになっていかない。みなさんで盛り上がっていかなければ」、木村住職は「生きていることに自信を持って、前に進んでいかなければ」と述べた。
引き続き木村住職らによる法要が執り行われ、竹灯りやキャンドルの光に包まれた祭壇に向かって参列者が焼香。須崎川上流の明土橋たもとからは、約200個の灯ろうが次々と流された。
灯ろうがつるされた船も4隻浮かび、ゆっくりとただよいながら、幻想的な雰囲気を演出。川岸には幅広い世代の住民が訪れ、涼やかな風を浴びながら見入っていた。
実行委員会のメンバーで、本増寺副住職の木村匡宏さん(50)は「新型ウイルスの影響は医療や経済だけでなく、人と人とのつながりにも及んでいる。東日本大震災の時にみんなが大切にした『絆』を持ち続け、発信していくことが大切。過去、現在、将来を思う場として、今後も続いていけば」と期待を込めていた。