奇跡の一本松 木片使ってマスク製作 「負けないで」の思い込め 東京の日本コカリナ協会
令和2年8月23日付 7面

東京都豊島区のNPO法人日本コカリナ協会(黒坂黒太郎会長)は、陸前高田市の震災遺構「奇跡の一本松」の木片を使った布マスクを製作し、熊本県南部などで甚大な被害が出た豪雨災害被災地に贈った。震災の津波に耐えて残った一本松などのイラストも描かれ、「災害に負けないで」という思いをマスクに込めた。
九州豪雨被災者に500枚贈る
生地には一本松の木の中をくりぬいた時にできた木片を使用。大阪府の織物業者が協力し、大人用サイズの1000枚を縫製した。
このうち、500枚を熊本県人吉市の被災者らに寄贈。現地からは「木の布でできており心地よい」「奇跡の一本松のマスクは元気が出る」などと喜びの声が聞かれたという。
日本コカリナ協会は震災後、一本松を含む高田松原の被災マツを使い、コカリナを製作。平成24年からは陸前高田市内の小学生にコカリナをプレゼントする支援活動を始め、29年までの間に約1400人に贈った。
熊本県によると、7月に発生した九州豪雨で県内死者は65人、行方不明者は2人(いずれも19日時点)。住家は675戸が全半壊、5830戸が床上浸水し、今も約1200人が避難所生活を送っている。
同協会は4年前の熊本地震後、同県での支援活動も行っている。マスクは洗って再利用可能。布を二重構造にしており、間のポケットに不織布を入れて機能を高めることもできる。
1枚1500円(税込み)で一般向けに販売しており、注文があれば郵送にも応じる。今後も熊本の被災地などに贈るため増産を計画しており、1枚当たり300円を製作資金に充てることとしている。
事務局の椎香周和(すわ)さん(48)は「一本松は東北被災地の復興の象徴。熊本の被災地で一人でも多くの人に前向きな気持ちになってもらえれば幸い」と願いを込める。
問い合わせは、同協会(℡03・6909・3383、ファクス03・6909・3536)へ。