経済循環加速へ独自調査 消費動向と事業者実績把握 市がアンケート実施

▲ 市民や事業者に郵送した調査票

 陸前高田市は、市内の経済循環促進の基礎データを得るための独自調査に取り組んでいる。国の「復興・創生期間」の最終年度に入り、基盤整備をはじめ大規模事業が最終盤を迎える中、復興の先を見据えた持続可能なまちを戦略的に形成するため、まずは市民の消費動向や事業者の収入・支出などの詳細把握に当たる。新型コロナウイルスの感染拡大を背景に地域内の消費喚起策が求められており、地域経済の全体像を分析したうえで、来年度以降、効果的な施策を展開していく考えだ。

 

回答もとに来年度から施策立案

 

 地域経済の現況を網羅的に把握する調査は、今回が初めて。今後、復興需要の収束と人口減少による消費力の低下が見込まれることから、所得や雇用の減少を防ぐ対策を打ち出すため、地域経済の「見える化」を図ろうと実施に乗り出した。
 市民向けの消費動向調査は、無作為に抽出した1805世帯を対象に実施。7月中旬に調査票を発送し、同月末に回答の受け付けを締め切った。921世帯が返送し、回答率は51%。
 質問項目は▽性別▽年代▽家族構成▽買い物時の主な移動手段──に加え、地元産の野菜、海産物などを購入する頻度や理由など。地域ブランド米「たかたのゆめ」の認知度も確かめる。
 食料品の購入場所に関しては肉類、魚介類、野菜など主要品目別に▽市内▽市外▽宅配──のそれぞれの割合、おおよその購入金額を質問。商品ニーズを把握するため、「市内で購入できると望ましいと思う商品」について問う自由記載の欄も設けた。
 一方、事業者向けの調査は、最新の経済センサス(平成28年)に基づく市内すべての約700事業者を対象とする。28年時点の売り上げと支出、復興需要関連の売り上げについて聞く。
 売り上げと支出に関しては、販売先や仕入れ先の割合を▽市内▽国内(同市以外)▽海外──に分けて質問し、市外から「稼ぐ力」が高いブランドやサービスを探る。復興需要関連の売り上げについては、年間総売り上げに占める割合とともに、復興事業収束後の事業者独自の対策の有無を尋ねる。
 現在、100近くの事業者から回答を得ている。締め切りは今月31日(月)。調査票と同封の返信用封筒を用いた郵送での回答を求めている。
 9月以降集計に取りかかり、本年度中は両方の調査を横断的に分析していく。10月ごろには中間結果をまとめ、地産地消や地産外商の強化策などを練る。
 市地域振興部商政課の木全洋一郎課長は「もともと調査実施を検討してきたが、くしくも新型コロナで市内で経済循環を促す重要性がさらに高まっている。調査結果をもとに地域が利益を得られるよう、事業者や陸前高田商工会と連携していく」と力を込める。
 同課は次年度以降の施策立案につなげるため、事業者に対し「より多くの回答をお願いしたい」と呼びかける。
 問い合わせは、同課ブランド推進係(℡54・2111内線432)へ。