命守る発信たたえ 復興大臣が感謝状 「ハナミズキのみち」の会に(別写真あり)

▲ 戸羽市長㊧に復興大臣感謝状受賞を報告する「ハナミズキのみち」の会メンバー

 東日本大震災の被災地復興に尽力したとして、陸前高田市の「陸前高田『ハナミズキのみち』の会」(淺沼ミキ子代表)に2日、復興大臣感謝状が贈られた。多くの人の命を守ろうと震災の教訓を発信し続ける活動が認められたもので、同会では3日、市役所に戸羽太市長を訪ねて報告した。

 

 同会は、津波で市の嘱託職員だった長男・健さん(当時25)を亡くした淺沼代表が、教訓を未来に伝えるべく高台への避難を呼びかける絵本『ハナミズキのみち』を刊行したのをきっかけとして、平成25年に市民有志らで立ち上げた。
 高田町を南北に貫く主要避難道・シンボルロード(市道曲松中和野線、全長約1・9㌔)の整備にあたり、「ハナミズキを海側と高台部をつなぐシンボルロードの目印となる街路樹にしてほしい」と、市に1万人以上の署名を提出。
 道沿いにはこれまでに市が94本、同会が21本のハナミズキを植えた。さらに、『ハナミズキのみち』の表紙を模したモニュメントを海側の南端に置き、昨年春の全線開通後に除幕。「この道をより高い所に駆け上がれ!」というメッセージを伝えている。
 復興大臣感謝状は岩手、宮城、福島各県で、復興の取り組みに尽力する団体などを対象としている。今回、本県では同会を含む4団体が選ばれ、2日に釜石市内で田中和徳復興大臣から各団体に贈られた。
 この報告に市長を訪問したのは、淺沼代表(57)と高橋勇樹副代表(42)、事務局の小山祐樹さん(40)の3人。淺沼代表が戸羽市長に感謝状を披露し、「当初はメンバーの中でも実現できるとは思ってもいなかった。形となったのは、いろいろな方々の思いがつながった結果だと思う」と多くの支えに感謝を示した。
 戸羽市長は「二度とこのようなことがないよう世界中の人に伝えていくため、大切なプロジェクトだ。淺沼さんの思いやメンバーの皆さんの頑張りが認められたものと思う」とたたえた。
 このあとの懇談で、メンバーは市内の児童生徒にシンボルロードに込められた思いを伝える機会やここを駆け上がる催しのアイデア、植樹木の手入れや雑草処理といった現在の活動状況などを市長に伝えた。
 淺沼代表は「形になってきたことをどう生かしていこうか話し合っているところで感謝状をいただき、メンバーの士気も高まり、頑張る決意を新たにできた」と話していた。