手がかりを一つでも多く 行方不明者を捜索 大船渡警察署が陸前高田で(別写真あり)
令和2年9月12日付 7面

東日本大震災の発生から9年6カ月となった11日、大船渡警察署(吉田知明署長)は、陸前高田市広田町の大野海岸で行方不明者の捜索活動を行った。署員のほか、県警察学校(盛岡市)の初任科生らも出動。震災犠牲者や今もまだ見つかってない人の家族を思い、「一つでも多くの手がかりを見つけたい」と活動にあたった。
震災から9年6カ月
同署管内の月命日の捜索活動は、今年4月に気仙川で行って以来5カ月ぶり。同海岸での活動は平成27年9月以来5年ぶりとなった。
同署地域課や高田幹部交番(大河内善寿所長)の署員18人と、今年4月から同校で研修を受けている初任科生の警察官と引率の合わせて37人が出動。開始式では、はじめに署員や初任科生らが海に向かって黙とう。吉田署長が「捜索にあたるみなさんには、行方不明者のご家族の心情に立ち、一人でも多くの行方不明者や手がかりとなるものをご家族のもとにお返しするという強い信念で捜索に臨んでほしい」と訓示した。
このあと、熊手などの道具を持った署員らが、砂浜の砂を掘り起こしながら捜索活動を実施。警備船のゴムボートを使い海の中も捜し、手がかり発見に向けて汗を流した。
初任科生のうち、津田昌哉巡査(23)は同市高田町出身。震災当時は中学生で、避難所などで指揮を執る警察官らの姿に憧れたという。
震災で親戚2人が行方不明となったこともあり、津田巡査は「集中捜索に携わりたいと思っていたので、微力ながらも手がかり発見の力になりたい。今後、月日がたっても命日などの節目ごとに悲しさを感じる人がいると思うので、その人たちのために自分の力を発揮していければ」と力を込めていた。
捜索は同日午後3時ごろまで行われたが、手がかりとなるものは見つからなかった。
気仙両市では震災で1897人が犠牲となり、同署の署員も6人が殉職。現在も陸前高田市で202人、大船渡市で79人が行方不明となっている。
月命日の捜索活動は、平成29年度まで県警主導のもと毎月行われてきたが、震災から7年が経過した翌30年度から、大船渡など沿岸5署それぞれが実施時期を判断する方法に変更。
大船渡警察署では、30年度までは毎月の捜索を継続し、昨年度は節目の3月と9月のほか、偶数月の月命日に実施。本年度は、3月と9月以外は、地域住民から要望を受けた時など状況に応じて行っていくという。
同署の小原孝介地域課長は「警察では震災行方不明者に関わる相談会を10月にも予定しており、そこで得た情報も今後の捜索場所の参考にしたい。一つでも多く手がかりを見つけ、待ち望んでいる方々にお返ししたい」と話していた。