球児へのエール込め 「甲子園の土」キーホルダー 気仙4校にも届く
令和2年9月19日付 7面

阪神甲子園球場とプロ野球・阪神タイガースは、日本高野連に加盟する野球部の3年生全部員に「甲子園の土」キーホルダーを贈った。新型コロナウイルスの感染拡大により、球児の夢舞台である「全国高校野球選手権」が中止となったことを受けての取り組み。気仙の各校にも届いており、生徒たちは球場、球団関係者の厚意に感謝を示している。
甲子園球場と阪神タイガース
高校野球部の3年生に
この企画は、阪神タイガースの矢野燿大(あきひろ)監督をはじめ、コーチや選手たちの「高校球児のために何かできないか」という声によって実現した。
贈呈の対象となったのは、日本高野連に加盟している3年生全部員で、贈られたのは「甲子園の土」入りのオリジナルキーホルダー。
キーホルダー製作に当たり、使用している甲子園の土の一部は矢野監督やコーチ、選手、阪神甲子園球場、同球場のグラウンド整備を担当している阪神園芸、阪神タイガースの職員らが直接グラウンドから集めた。
日本高野連によると、今年7月末時点での3年生部員数は4万5682人。本県は69校に661人が所属している。
気仙の4高校にも、18日までにキーホルダーが贈られた。このうち、住田高には今月9日、大谷海雅(かいま)君、川下楓君、マネジャーの長谷川馨遥(かすみ)さんの3年生3人にキーホルダーが届いた。
キーホルダーには「みんなの悔しい思い、どこにもぶつけようのない思い、つらい思いなどが、この甲子園の土を送らせてもらうことでほんの少しでも前を向き、これからの人生を歩んでいく小さな一歩になってくれたら。ともに〝顔晴り〟ましょう!ともに乗り越えましょう」という矢野監督のメッセージや、同球団の木浪聖也選手(青森県出身)の直筆サインも添えられている。
住田高は昨秋、山田高、宮古水産との連合チームでの出場となったが、今夏は新入生5人が加わって単独出場を果たした。新型コロナウイルスにより、甲子園という夢舞台への道は途絶えたが、本県独自の代替大会では県大会上位進出を目指して一丸となって戦った。
大谷君は「甲子園に行くチャンスがなかった中で土をいただけてありがたい。部屋に大事に飾りたい」と関係者の厚意に感謝。
川下君は「これが甲子園の砂なんだな」と語りながら聖地の土を見つめ、長谷川さんは「例年通りの夏の大会ができない中、ご厚意でいただけてうれしかった。家で大切に保管したい」と喜びを口にする。
1、2年生の後輩たちに向けては「自分たちの力で県大会を勝ち抜いて甲子園へ」と、夢を託した。