パリ国際サロン賞を受賞 日・仏現代美術世界展で 彩光会の武田さん

▲ パリ国際サロン賞を受賞した作品「氷結─2」と武田さん

 「第21回日本・フランス現代美術世界展」(JIAS日本国際美術家協会主催)で、気仙地域のアートアカデミー「彩光会」会員の武田保男さん(69)=陸前高田市米崎町=の油彩画作品「氷結─2」(100×73㌢)が、最高賞に次ぐパリ国際サロン賞を受賞した。日本や海外の有識者らが審査を行う国際展で実力を認められ、地元の美術関係者からは快挙を祝福する声が寄せられている。

 

薄氷を油彩で表現

 

 同展は、フランスやオランダなど海外の著名作家作品と、公募により選出された邦人作家作品が合同展示される展覧会。油彩画や日本画などの平面作品に加え、ガラス工芸や彫刻、建築・空間デザインの作品など、多様な分野の作品を受け入れている。
 今回は、8月8日~16日に東京都の国立新美術館で開催。海外作品98点と邦人作品426点の計524点が展示され、武田さんの作品も展示された。
 出品作は、フランスで著名なサロン・ドトーヌ、ル・サロンなど美術展覧会の会員役員ら有識者が審査を行い、最高賞の大賞など七つの賞で合わせて17作品を選出。このうち、パリ国際サロン賞2作品の一つに、武田さんの作品が選ばれた。
 武田さんの「氷結─2」は、光を当てた薄氷を偏光フィルター越しにカメラで撮影し、映し出された氷の模様を表現した作品。自然由来の美しい曲線や色彩を忠実に再現し、明暗比や色の濃淡を細部までこだわって独創的な世界観を創出した。
 同市竹駒町出身で写真撮影が趣味の武田さんは、東日本大震災後に米崎町に転居し、地元で開かれた絵画教室への参加がきっかけで油彩画を始めた。彩光会の会長でサロン・ドトーヌ会員でもある同市高田町在住の画家・熊谷睦男さんから指導を受け、地元の美術展への出品などを通じて画力を磨いた。
 昨年は、熊谷さんの勧めもあって第20回日本・フランス現代美術世界展に初出品して初入選。2度目の挑戦となった今回はさらに高い評価を得て、熊谷さんら関係者も武田さんの努力と熱意をたたえている。
 武田さんは「絵の価値は見る人によってさまざま。そんな中で自分の作品が評価されたというのはとてもうれしいこと」と喜ぶ。「自分の描きたいものを自分でコントロールしながら描けることが、写真にはない絵の魅力。今後もほかの人の作品や美術展の機会から刺激をもらいながら、画力向上に励みたい」と話していた。