ふるさと納税が好調に推移 寄付額早くも1億円突破 返礼品拡充へ提供事業者募る

▲ 7月には返礼品事業者らを対象に初の勉強会も開かれた

 陸前高田市のふるさと納税「陸前高田がんばっぺし応援寄附金」が好調だ。本年度は、前年度よりも2カ月早く8月末に累計1億円(前年同期比78%増)を突破。新型コロナウイルスの影響で食品の〝お取り寄せ〟需要が高まっている全国的な傾向が追い風となったほか、返礼品の品数を大幅に増やしたのも実績を後押ししたとみられる。本年度の寄付額目標は過去最高の累計5億円を掲げ、市は返礼品を出す事業者を随時募っている。


〝お取り寄せ〟需要増など後押し
本年度の目標5億円

 

 市によると、本年度の月別寄付額は4月2275万円(前年同月比148%増)、5月2012万円(同25%増)、6月2240万円(同102%増)、7月1768万円(同68%増)、8月1770万円(同82%増)。水産品や農作物など同市の特産品が特に人気を集めているという。
 ふるさと納税は、出身地や応援したい特定の自治体に寄付できる制度。寄付額から2000円を引いた金額が、自治体の住民税、個人税から控除される(上限あり)。都市と地方の税収格差を埋める目的で始まり、自治体にとっては行政予算を増やすことができ、返礼品を通じて地元の魅力をPRできる。
 市は平成20年度に始め、東日本大震災後の中断を経て、27年7月に受け付けを再開。返礼品の梱包(こんぽう)・発送作業を気仙両市の授産施設が担うなど、障害者の就労の場も創出している。
 寄付額は28年度から毎年4億円台で推移。昨年度の寄付件数は2万3282件で、金額は4億1000万円。納税者が選べる寄付金の使い道は「子ども支援」「農林水産業・商工業などの振興」など九つの分野を設けている。
 総務省による返礼品基準の見直しを踏まえ、市は本年度に入り、返礼品や提供事業者に関する登録の基準を明確化させた。市に登録申請し、承認を受けたうえで返礼品を提供できる流れとなっている。
 返礼品取り扱い業務は本年度から、陸前高田地域振興㈱と北上市の㈱フロムゼロの共同企業体「ふるさと陸前高田」が担う。7月には、ふるさと納税の関係者同士のつながりを強化しようと事業者向け勉強会を初めて催した。
 ふるさと陸前高田は返礼品の拡充にも取り組み、3月末に約300品だった品数を約460品に増やした。寄付者に返礼品情報や同市の復興の様子などを伝えるダイレクトメッセージ配信も定期化し、寄付に対する感謝の発信にも努めている。
 一方で、寄付額の好調ぶりを維持できるかは不透明だ。控除を受けられる寄付の上限額は年収や家族構成によって変わる。例年、年末は駆け込みで寄付が集中するが、本年度は新型ウイルスの影響で収入が減り、上限額が下がった人の〝寄付控え〟の可能性がある。
 ふるさと陸前高田の担当者は「新型コロナウイルスで減収した市内事業者の支援につなげたい。ふるさと納税を通じて陸前高田を応援したいというリピーターは多く、運営側も励まされる思い。返礼品を充実させるとともに、寄付者への情報発信などに力を入れる」と話す。
 返礼品の登録申請など問い合わせは、ふるさと陸前高田(℡22・9155)へ。