「地元店を知るきっかけに」 ふるさと振興券事業開始 全世帯に1万円分 大船渡市

▲ 商議所職員による封詰め作業。オレンジ色の封筒で配達される

 新型コロナウイルスの影響拡大に伴う大船渡市の独自経済対策、「ふるさと振興券」事業が25日から始まった。市内全世帯に簡易書留郵便で1万円分の振興券を配り、市内小規模店での消費を喚起する取り組み。振興券を使える店舗は市内360店舗超に上り、市などでは「持続可能な地域づくりに向け、地元のお店を知ってもらうきっかけにもなれば」と期待を込める。

 

10月中旬までに簡易書留配達 360店舗超で利用可能

 

 ふるさと振興券は、新型ウイルスの影響を大きく受けている飲食店や小売業、サービス業の売り上げ確保に向けた消費喚起が目的。市内全世帯が対象で、1世帯当たり1万円分(500円券20枚)を配布する。事業運営は大船渡商工会議所が委託を受けている。
 振興券の配布対象者は、市内全世帯で約1万5000世帯。8月1日現在で住民登録がある世帯主(外国人を含む)宛てに送付する。
 同商議所では今月25日までの3日間、職員が簡易書留配達を行う振興券などの封筒詰め作業を実施。オレンジ色の封筒には、振興券と取り扱い加盟店リストに加え、振興券事業の概要や戸田公明市長のメッセージが記された紙を入れた。
 簡易書留郵便による「手渡し配達」は、同日からスタート。現段階では10月7日(水)までに市内全域の巡回配達を終え、不在などの場合は同8日(木)〜14日(水)に再び配達に出向く。それでも配達できない場合は、1週間郵便局で保管する。
 振興券を利用できる加盟店は、小規模店舗に限定して公募を行った結果、今月15日現在で364店舗。飲食店や小売店、サービス業が対象で、理美容やガソリンスタンド、薬局も加盟した。盛町のサン・リアや大船渡地区に整備された商店街の各専門店で利用できるが、店舗面積が500平方㍍を超える大型店は対象から外れた。
 同商議所はこれまで地域商品券事業を展開しているが、同事業に参加している小規模事業者339店舗だけでなく、新たに25店舗が加わった。今後も随時、加盟店を募集する。
 配達された日から利用でき、今年12月31日(木)まで有効。加盟店の換金期限は来年1月29日(金)。商議所が発行している地域商品券は換金時に3%の手数料を徴収するが、振興券は無料とする。
 市商工課の佐藤信一商工課長は「『新しい生活様式』に対応した感染の予防と社会経済活動の再開の両立が求められ、感染防止策に取り組みつつ、市民の皆さんとともに新型コロナウイルスに負けない持続可能な地域づくりを進めたい。この事業が、地元店舗の良さを改めて知るきっかけになれば」と話す。
 発行額は1億5000万円で、発行枚数は30万枚に及ぶ。同商議所では加盟店に対し、換金に対応する金融機関に持ち込まれる枚数が集中する状況を懸念し、「ためずに資金化を」「混み合う日を避けてほしい」と協力を求めている。
 問い合わせは市商工課(℡27・3111内線109・111)か、同商議所(℡26・2141)へ。