10月中旬のオープンへ 旧甫嶺小校舎を改修 復興交流推進センター完成
令和2年9月27日付 7面


来月中旬の開所に向けて住民らが環境整備
大船渡市三陸町越喜来の旧甫嶺小学校校舎を活用し、新たに整備した交流・宿泊施設「甫嶺復興交流推進センター」が完成した。校舎の趣を残しながら、1階は地域活動などの交流拠点、2階は宿泊施設として改修。10月1日(木)からは同センターの指定管理者である㈱三陸アクティブ(鈴木健悦代表取締役)が運営を担い、同月中旬の開所を目指して準備を進めていく。センターには自転車・BMXを楽しめる民間の施設も隣接しており、今後は三陸の魅力や自然を生かした体験型の活動などを提供する施設としての活用、発展が期待される。
宿泊・地域活動などに対応
昭和58年3月に竣工した旧甫嶺小校舎は、鉄筋コンクリート一部鉄骨造2階建ての校舎(延床面積1708・63平方㍍)と鉄骨造平屋建ての体育館(同618・52平方㍍)からなる。平成23年の東日本大震災後、津波で被災した越喜来、地震被害を受けた崎浜の各小学校が間借りし、24年度の3校統合後は越喜来小として利用。28年11月に同校が新校舎に移転したあとは空き校舎となっていた。
地元の甫嶺、上甫嶺両自治会と、越喜来地区震災復興委員会は、空き校舎となった旧甫嶺小校舎、校庭の利活用策を検討。29年2月には市に対し、構想案とともに有効な利用を求めていた。
市は30年度に策定した「(仮称)甫嶺小学校改修・利活用基本計画」の調査事業に基づき、令和元年度には同センターの整備工事にかかる設計業務を実施。工事は三陸町綾里の正三建設㈱が担い、今年3月19日から今月14日までを工期に整備を進めた。費用は約1億6780万円で、復興交付金や地方創生推進交付金を活用した。
完成した同センターは、1階部分を地区住民を中心とした活動、地区内外の交流拠点として活用。多目的利用スペース(和室2室、洋室2室)をはじめ、有料のシャワールーム(男子用6基、女子用4基、外部用2基)、家庭科室を生かしたオープンキッチン、トイレなどを設置。玄関は校舎裏側に位置し、給食の配膳室を管理事務室に改修した。
2階部分は、三陸の自然を生かした体験プログラムによる観光誘客と地域交流によって来訪者・滞在者を増やすための宿泊施設として利用。最大72人が宿泊可能なドミトリー(1室当たり18床、男子用2室、女子用2室)や、宿泊者向けのコミュニティールーム(2室)、リネン室、トイレなどを設ける。
体育館は壁面改装を実施。館内には、センターに隣接する三陸BMXスタジアムを運営する赤崎町の合同会社TXF(福山宏代表社員)がジャンプ用などのセクションを設置し、BMXやスケードボード、インラインスケートが楽しめる「室内パーク」を開設する。
センターの開所は10月中旬を予定。市や三陸アクティブによると、オープン後は同社従業員2人とパート4人が常駐する。年中無休で、営業時間は午前7時〜午後9時。
開所に合わせて1階部分の利用受け付けを始め、2階の宿泊施設は準備が整い次第、受け入れる計画という。宿泊料金は1泊2500円。
開所に先立ち、今月26日には三陸アクティブの関係者や甫嶺、上甫嶺地域の住民有志ら約30人が環境整備を展開。施設周辺の草刈りや枝払いに汗を流し、環境を整えた。
鈴木代表取締役は「この施設を拠点に、越喜来の魅力と自然を生かした体験型ツアー、スポーツを組み合わせ、さまざまな人々とのふれあい、交流を生んでいきたい。越喜来の地域振興を促進し、愛される施設となるよう努力していく」と意欲を見せている。