大船渡駅周辺地区 「マッチング」さらに加速を 土地利活用は84%に上昇

▲ これまで立地した施設の機能などを生かし、さらなる土地利活用の推進が求められる大船渡駅周辺地区

 大船渡市は、大船渡駅周辺地区土地区画整理事業区域内の未利用地活用に向け、地権者と土地利活用希望者とのマッチング事業を進めている。8月末現在の利活用は利用予定を含めて全体の84%まで上昇しているが、住宅や店舗の再建には一服感も見られる。市では16%を占める未利用地のうち、売却・賃貸を希望する地権者からの情報を市ホームページで発信し、利用を希望する個人・事業者の申請に対応。東日本大震災から9年半が経過し、まちの機能もそろいつつある中、今後は新規住宅建設の促進や、海に面した「みなと」を生かしたまちづくりへの活用などが注目される。

 

新規住宅促進など今後のカギ

ホームページ発信に注力

 

 市は東日本大震災で甚大な被害を受けた大船渡駅周辺地区で、土地区画整理事業(事業区域33・8㌶)による復興まちづくり事業を展開。平成25年8月に着工し、昨年3月末で土地のかさ上げや道路整備、公共施設の建設といった基盤整備工事を完了した。
 主にJR大船渡線から山側(西側)では、東日本大震災規模の津波に対応した安全な住宅地区として整備。海側(東側)は商業・業務地区として整備するとともに、災害危険区域の指定による居住制限や商業・業務系の利用を誘導してきた。
 市が8月末現在でまとめた土地区画整理事業区域内の土地の利活用状況によると、道路や公園などの公共施設用地を除く宅地380筆、21万3615平方㍍のうち、利用中の状態は236筆、16万686平方㍍(73%)、利用予定は38筆、1万9023平方㍍(11%)となっている。
 一方、未定は105筆、3万3906平方㍍(16%)。このうち、賃貸・売却希望は65筆、2万6331平方㍍となっている。
 昨年3月末の整備完了時期における未定の土地は約20%で、賃貸・売却希望者の土地も本年度に入って5000平方㍍ほど減少するなど利用が進む。
 一方で、今後は被災者による住宅再建は見込みにくく、商業・サービス施設の立地にも落ち着きが見られる。
 市では本年度、利用未定地を所有している地権者と、事業候補地を探す事業者らに対し、地区の現状や今後の可能性などに理解を深めてもらおうと、ガイドブックを作成。駅周辺地区の概要や土地利活用の現状、市の取り組み・支援策などをまとめ、地権者や事業者の声も添えた。市ホームページで公開している。
 合わせて、ホームページでの情報発信にも注力。土地区画整理事業区域をJR大船渡線と須崎川を境としてA~Dの4区域に区切り、地権者が売却・賃貸を希望する土地の情報を公表。宅地としての利用も含む希望者からの申請を受け付け、地権者を紹介する。
 市が担うのは、土地の情報提供、地権者と利活用希望者との連絡調整。仲介やあっせん、交渉、契約には関与していない。昨年3月から始め、今年2月までで4件の取引が成立した。
 現時点で公表されているのは、4区域合わせて約30件。それぞれ地番や面積、用途地域、希望取引形態、位置図、現地の写真などを示している。引き続き、公開している土地所有者との協議希望者を呼びかけるとともに、賃貸・売却希望者の登録も受け付ける。
 今後の土地利活用に向けて求められることの一つは、区域ごとの特性を生かした環境・機能の理解促進。山側では住宅建設が可能である一方、当初の計画人口約700人に対して昨年度末の居住人口は300人を下回っており、新規住宅取得への対応が求められそうだ。
 また、海側では商業施設だけでなく公園整備も進み、防潮堤周囲の港湾に面したまちの機能も固まってきた。今後は、気仙船大工の技術が結集され、東日本大震災でも流されずに残った木造船「気仙丸」の陸上展示なども計画されている中、「みなと」を生かしたまちづくりなどへの活用も注目される。
 市災害復興局大船渡駅周辺整備室では「住宅エリアの魅力など、今後も随時情報を更新して利活用につなげたい」としている。