活気広がる浜の作業場 養殖カキの「初むき」 豊洲市場の初入札に合わせ(動画、別写真あり)

▲ 豊洲市場への出荷に向けて行われた「初むき」作業

 大船渡市漁協管内で29日、東京都中央卸売市場の豊洲市場での入札に向けた養殖カキの「初むき」が行われた。10月1日(木)の初競りに合わせ、浜の作業場では関係者が1個ずつ丁寧にナイフを入れ、順調な成育ぶりを確認。価格面での新型コロナウイルスの影響が見極めにくい面もあるが、生産者は価格安定に期待を込めていた。

 

価格安定に期待込め

 

 同漁協では毎年、初入札に向けたトラック便の出発に合わせて30日に出荷式を開いているが、今年は新型ウイルス感染防止などのため見送りを決めた。一方で、初出荷に向けた集荷などは通常通りの日程となっており、各作業場では29日から、むき身作業が本格化。例年と変わらない光景が広がった。
 大船渡町宮ノ前の岸壁沿いに並ぶ作業場では、19生産者らで組織する大船渡養殖組合の関係者らが作業。28日から29日にかけて水揚げした殻付きカキが山積みにされ、数人がかりで1個ずつむき身にした。
 手際よくナイフを入れ、ぷりぷりとした乳白色の身を取り出しながら会話も弾み、活気が広がった。
 このうち、新沼治さん(75)の作業場では、5人でむき身作業を行うなど豊洲への出荷準備に追われた。新沼さんは「今年の質はまずまず。例年と変わらず、これからもっと良くなってくる。新型ウイルスがあって難しい面もあるが、丹精こめて育てたので、おいしく食べてほしい」と期待を込めた。
 昨年の豊洲市場での初入札では、気仙産のカキは10㌔当たり5万円の最高値をつけ、このほかも4万5000円~3万3000円の値が付いた。質の高さに加え、豊洲市場への全体的な出荷数量が少なかったことが反映された。
 毎年、全国トップレベルの高品質を誇る一方、広島など他産地の動向や、新型ウイルスが価格面にどう影響を及ぼすかは見極めにくく、他の作業場からは「始まってみないと分からない」との声も。作業を見守った市漁協関係者は「今年も順調に成育しているので、相場が例年並みで推移してくれれば。新型ウイルスの影響が早く収束してほしい」と話していた。
 同漁協管内の令和元年度の取り扱い実績は、むき身が161㌧、3億4383万円。殻付きは380万5900個で、3億2528万円だった。
 本年度はむき身166㌧、3億2440万円、殻付き380万個、3億4320万円を目標としている。