初の「豪雨・洪水想定」で実施 18日に市内全域で防災訓練
令和2年10月4日付 1面

大船渡市による防災訓練は、18日(日)午前7時30分から市内全域で行われる。これまで地震・津波を想定してきたが、全国的に豪雨災害が多発している状況を踏まえ、市としては初めて豪雨による洪水や土砂災害に備える避難行動を確認する。合わせて、新型コロナウイルス感染防止に対応した避難所開設訓練も予定。初の実施となるため、住民らには豪雨被害の危険性があるかや、避難所に何を持って行くのかなど「備えの確認」を求める。
新型ウイルス対応の避難所開設も
近年、気仙でも台風接近に伴う被害が相次いでいる。昨年10月には、大型で強い台風19号の接近を受け、気象庁は重大な災害が発生する恐れがあるとして気仙3市町に対して初の「大雨特別警報」を発令。市は、全域に避難指示(緊急)を出し、11地区に開設した避難所には、ピーク時で500人以上が身を寄せた。
毎年秋に実施している防災訓練ではこれまで、地震・大津波に備えた避難行動などを確認。毎回7000人前後が参加していた。豪雨による洪水・土砂災害を想定した訓練は、本年度初めてとなる。
戸田公明市長は「国内各地で見られる豪雨災害は甚大化し、昨年は市内でも被害を受けた。豪雨災害の襲来頻度が高まっている。事前に準備していくことで、突然の事態に乗り越える力が出てくる。何回も継続してくり返すことで見つかる課題点、改善点を次回につなげ、防災力を高めたい」と狙いを語る。
訓練を前に、住民らには改めて「自ら暮らす地域が安全かどうか」の確認を求める。市や県のホームページ、市内各地域の自主防災組織などを通じた把握に加え、開設される避難所に向かうか、親戚宅などの「分散避難」を行うかなどの判断も重要となる。
また、雨脚が強まる前からの避難行動を呼びかけるため、避難所での長時間滞在が予想され、常備薬など持参品のチェックも欠かせない。川沿いを避ける移動や、近隣の住民と声をかけ合うといった避難行動のあり方を考える機会にもなる。
地域によっては、防災・福祉関係者に配布した要支援者リストに基づく誘導のあり方も確認する方針。避難所は地区ごとに設ける11カ所を基本とし、地域ごとに運営する自主防災組織による臨時避難所開設にも協力を求める。
新型ウイルスの感染防止に対応した避難所開設訓練では、国などから示されている指針に基づき、入場時の体調確認や検温、手指消毒に加え、体調不良者と健常者の場所を分けるといった対応を確認する。自主防災組織の臨時避難所を開設する場合も、感染防止策をとることにしている。
訓練に向けた事前周知では、市広報やホームページ、防災行政無線を活用。11カ所の地区本部や避難所などに加え、避難行動時に持参すべきものなどを紹介する。
洪水や土砂災害の避難に関しては、住民から「地区公民館単位では少ない」「距離が遠く、避難をためらう住民が多い」といった指摘も出ている。市は、今回の訓練や今後実施する住民参加のワークショップなどを通じて避難所体制を見直し、必要な基準を満たした施設や安全な経路などの選定を進めることにしている。
本年度は、防災訓練として地震・津波の避難行動確認は行わない方針。市は「豪雨・洪水の訓練は1度行ったから終わりというわけではなく、継続が大切。地震・津波の避難行動も重要であり、どういった割合で実施すべきかは今後考えていきたい」としている。