「機能維持」へ感染症対策も 大船渡市議会が業務継続計画策定
令和2年10月8日付 1面

大船渡市議会(渕上清議長、議員20人)は7日、記者会見を開き、震災や豪雨災害に加え、新型コロナウイルスなどの感染症に備えるために今月1日付で運用を開始した「業務継続計画(BCP)」の内容を説明した。災害発生などの緊急時でも議会機能を維持する体制を整える方針で、オンライン会議の開催も見据える。今後、オンラインに対応した環境整備の検討を急ぐほか、この計画などに沿って、感染者が出た場合の議会運営の「ガイドライン化」も進めることにしている。
非常時のオンライン会議開催など
同市議会では、平成23年の東日本大震災の教訓を踏まえた災害対策活動の柔軟な支援、情報共有などを見据え、平成25年に災害対応指針や災害時行動マニュアルなどを定めた。28年には、市議会運営の基本的事項を定めた議会基本条例を策定。この中でも、危機管理や災害時の対応などを明文化してきた。
一方、近年は全国的に豪雨災害や河川はんらん、台風による土砂災害が多発。さらに、新型ウイルスへの備えも求められている。前任期の昨年度から計画策定に向けた調整が進み、本年度は総務常任委員会(今野善信委員長、委員6人)が中心となって議論。市議会全員協議会での説明を経て、先月30日付で策定した。
BCPに基づき、災害対応業務実施に必要な体制をあらかじめ整備する。対象としている災害は、震度6弱以上の地震や津波警報発令時に加え、生活基盤などへの被害が発生した風雪水害、林野火災などの事故災害など。さらに、新型ウイルスの感染拡大時も盛り込んだ。
災害発生時は、すでに定めている災害対応指針に沿って対応。復旧・復興事業の議事・議決機関として市政運営の迅速化を図り、市民ニーズに対応した特別委員会の設置なども描いている。
また、議会内に市議全員で構成する災害対策会議を設置し、議会としての意思決定を行うための協議・調整の場を担う。感染症などで参集できない場合は、オンライン会議の開催も見据える。迅速な現場対応や情報共有、感染症発生時の議会機能維持に向け、平常時にも活用できるICTの活用体制整備も進める。
執行機関である市対策本部は実務的な災害対応に当たる中、議会では議事・議決機関としての役割などを維持できるよう努めるほか、市民からの情報を早期に収集・分析。提言や要望、政策立案などによって、復旧・復興の後押しを図る。
復旧・復興期の対応として、震災の経験などをふまえて「市に対する提言活動に係るPDCAサイクル」を設定。提言取りまとめや市当局への対応状況確認、次回提言への反映に向けた一連の流れを明文化した。
各種議案審議は基本的に、一昨年に耐震補強工事が行われた議場棟を使用。使用できなくなった場合は、リアスホールなどの代替施設で対応し、災害協定を結ぶ企業との連携を図る。
BCPは随時、見直しを進める。記者会見で今野委員長は「平常時から、災害に対応した整備を進めていきたい」と述べた。
議会では今後、タブレット端末などオンライン会議にも対応できる情報通信機器の導入等について具体的な検討に入る。合わせて、議会関係者の中で感染者が出た際の対応などをまとめた「ガイドライン」の取りまとめも目指す。