寛平さんら気仙両市走る 復興願う「みちのくマラソン」(別写真あり)
令和2年10月14日付 3面

吉本興業㈱の間寛平さんらお笑いタレントが被災地を駆け抜ける「RUN FORWARD KANPEIみちのくマラソン」は、13日に気仙入りした。寛平さんが陸前高田、大船渡両市内を力走し、東日本大震災から9年7カ月が経過した街並みの変化を感じとりながら、地域住民らにエールを送った。
みちのくマラソンは、世界一周のアースマラソンを完走した寛平さんが東日本大震災の被災地に元気を届けようと、平成24年から毎年実施。気仙両市にも足を運び続け、今年で9回目の実施となった。
昨年までは、各地の地域住民らと交流を深める場も設けられていたが、今年は新型コロナウイルスの影響により規模を縮小。企画への参加人数を絞り、広報も最小限にとどめて「密」をつくらないよう配慮した。
マラソンは今月10日に福島県浪江町を出発。14日までの全5日間で福島、宮城、岩手の東北3県を縦断し、ゴールの宮古市を目指す。
本県には寛平さんのほか、岩手住みます芸人・アンダーエイジの熊谷由輔さんと結城多聞さんの計3人が参加。13日は陸前高田市を出発し、大船渡市を経由して釜石市へと向かった。
このうち陸前高田市では、マラソンスタートの前に、寛平さんらが気仙町の東日本大震災津波伝承館を見学。震災当時の映像や被災関係資料、復興の足跡と教訓を伝える展示物などへ目を向け、寛平さんは「マラソンを始めた当初は『まだこれしか復興しとらんのか』と思ったが、今は『みんなすごく頑張ってるやないか』と思える」と心境を語った。
その後、寛平さんは同館を出発し、高田町の主要避難道・シンボルロードや商業施設・アバッセたかた前を通り、市コミュニティセンターまで約3・5㌔の道を1人で走った。昨年とほぼ同じルートだったが、完成したばかりの高田松原運動公園第一野球場や市民文化会館、現在のかさ上げ地などの新しい光景に目を向け、被災地の変化を感じ取った。
同センター到着後は市役所に足を運び、戸羽太市長を表敬訪問。「(高田幹部)交番の方が(仮設の)市役所より立派やな」などと語って笑いをとりつつ、和やかに懇談。「また来年も来ます」と約束し、「道が9年前と比べすごくきれいになり、人の力、団結力を感じた。前向きな心が大事。これからも前進していこう」と話した。
寛平さんらは午後に大船渡市へ入り、大船渡町の海の幸ふるまいセンターで昼食。「サンマのまち」として知られる同市名物のサンマに舌鼓を打ちながら、後半戦への英気を養ったあと、市役所を目指して出発した。
道中、今回のマラソンに協力している㈱ファミリーマートの大船渡中央通り店に立ち寄り、同社スタッフらと交流を深めたほか、付近で道路工事などに従事する作業員らとまちの復興状況について語り合う場面も。寛平さんは作業員らに対して「しっかり仕事せえや」とハッパをかけたうえ、「まちの復興のためにこれからも頑張って」と優しくエールを送った。
その後は、過去のマラソンで立ち寄っていた地ノ森応急仮設住宅跡地などを通過し、市役所に到着。戸田公明市長ら市職員に出迎えられた寛平さんは、サンマの味や復興のために働く人々の姿、自身が感じたまちの変化を戸田市長に伝え、「震災から10年目を迎え、まちの様子は大きく変わった。このマラソンは次で10回目の節目を迎えるので、来年もよろしくお願いします」と誓った。