白石峠の調査業務着手へ 県が国道107号の状況説明 大船渡市の道路検討会

▲ 国道107号の改良整備に向けて意見を交わした検討会

 大船渡市の「物流等の円滑化と活性化を図る道路ネットワーク検討会」(座長・志田努副市長)は16日、市役所で開かれた。これまで、気仙と内陸部を結ぶ国道107号の早期改良整備を求める活動を展開してきた中、県側が調査事業の検討状況を説明。本年度は、優先改良が望まれる住田町境の白石峠に絞った形で調査業務に入り、整備のあり方を探る。改良方法としてトンネル整備も視野に入れる姿勢を示した一方、財源確保を課題に挙げた。

 

改良整備「トンネルも視野」

 

 同検討会は、気仙における内陸部との道路ネットワーク構築の課題を検討しようと、市が平成28年度、物流、観光、医療などに関係する団体とともに設置。この日は同市や陸前高田市、住田町を含む構成団体の関係者や県、事務局である大船渡市の担当職員ら22人が出席した。
 経過報告の中で、県大船渡土木センターの馬場聡所長は、国道107号調査事業の検討状況を説明。今後の動きとして「どのような整備が望ましいかなどを検討していく」とし、白石トンネルを挟んだ白石峠区間(約5㌔)を対象とした調査業務に入る計画を示した。今月中に入札を行い、業務期間は年度内としている。
 着実に調査・検討が進んでいるとした一方で、「道路事業は多額の事業費が見込まれ、予算確保が大きな課題」とも指摘。「県もあらゆる機会を通じて国に対して公共事業予算確保の要望を行っている。今後も、公共予算の動向を見極めながら、少しずつ具体的な調査や検討を進めていきたい」と述べた。
 出席者からは「区間全体のトンネル化はあるのか、それとも拡幅なのか」との質問も。馬場所長は「まだ決定していないが、トンネルも視野に入れて進めている。どこからどこまでの整備が良いのかや、道路拡幅のバランスも考えながら検討を進めたい」とし、本年度の調査業務で整備のあり方を探る考えを示した。
 検討会はこれまで、北上山地への誘致実現が期待される国際リニアコライダー(ILC)や経済の動向も見据え、気仙と東北横断自動車道釜石秋田線宮守インターチェンジを結ぶ国道107号の早期改良に向けた要望活動や関係機関へのヒアリング、45フィート海上コンテナ運搬車両の公道走行実証実験などを行ってきた。
 県は29年度から、107号の猪川町地区から住田町の荷沢峠地区までの31・6㌔を7区間に分けて調査事業を実施。昨年度の会合で、白石峠区間の優先改良が望ましいとする考えを示していた。
 また、この日の議論では、同区間と同様に優先順位検討での評点が高かった住田町の荷沢峠地区(5・6㌔)の早期改良を訴える声も。県側は「課題が多いところではあるが、最初に白石峠を整備することとして考えている。荷沢峠に関しては、まだ具体的な検討に着手していない」と答えた。
 検討状況報告後の協議では、本年度の対県要望内容を決定。昨年度と同様に、国道107号について▽白石峠および荷沢峠での新たなトンネルの建設や屈曲区間のショートカットなど、改良整備の早期事業化▽積雪や路面凍結時の対策の充実▽内陸部と重要港湾「大船渡港」を結ぶ幹線道路の重要物流道路指定に向けた取り組みの推進──を掲げ、県に対し早期改良を求める。要望活動は来月20日(金)に行う方向で調整を進める。
 要望では、大船渡病院から内陸部の病院への救急搬送件数が年々増加している現状も示す方針。住田町内から大船渡病院への患者輸送も多く、救急・救援に欠かせない「命の道」をアピールする。