復興への現状を肌で JTBがボランティアツアー(別写真あり)

▲ 高田松原のマツ苗植栽地で草刈りに励む参加者

 大手旅行会社の㈱JTBが手がけるボランティアツアー「JTB地球いきいきプロジェクト」が17日、陸前高田市で開かれた。地域の環境保全や歴史、文化に触れる年に1度の事業で、今年は東日本大震災発生から10年目を迎えた同市を訪問先に決めた。社員や一般参加者が津波で失われた松林の再生を目指す高田松原で草刈りに励んだほか、講話などで震災後の歩みを学んだ。

 

マツ苗植栽地で草刈り

 

 JTB盛岡支店が旅行代金無料で企画した日帰りツアーで、同支店の社員や一般の計27人が参加。盛岡駅をバスで出発し、高田松原津波復興祈念公園を訪れた。
 参加者は公園内のマツ苗植栽地で鎌を手に草刈りを実施。地元のNPO法人高田松原を守る会(鈴木善久理事長)の役員5人が指導に当たった。
 昼食会場のキャピタルホテル1000では、同市の村上清参与と鈴木理事長による講話も。村上参与は津波襲来時の様子やまちの現状を説明したうえ、内閣府から「SDGs未来都市」に選定された同市の取り組み、国際交流など「復興・創生期間」後のまちの展望を伝えた。
 その後、米崎町の脇之沢漁港で漁業の生産現場を見学し、漁業者からも講話を受けた。最後に津波復興祈念公園内の震災津波伝承館や道の駅「高田松原」に立ち寄り、陸前高田をたった。
 JTB盛岡支店教育営業課の小泉哲也さん(46)は、娘2人と一緒に参加。高田松原で草刈りに汗を流した長女の理子さん(9)は「作業は大変だったけど、マツを一生懸命守っている人たちの力になれてうれしい。マツの木が大きく育ってほしい」と願った。
 宮古市出身で、知り合いに誘われてツアーに参加した県立大3年の内田裕真さん(20)は「陸前高田は津波で特に甚大な被害を受けたまち。更地や盛り土された場所が目立ち、その中で高田松原の再生をはじめ復興へ努力している人たちがいる。ツアーを通じて地域の力になれたらうれしい」と真剣な面持ちで話した。
 高田松原を守る会の鈴木理事長は「震災から9年以上経過する中、被災地を応援してもらい大変ありがたい。子どもの姿も見られ、将来に向けて再生を目指す高田松原を忘れずにいてほしい」と感謝していた。