妊娠・出産・育児の不安軽減へ 子育て〝仲間づくり〟後押し 新規サポート事業始まる
令和2年10月21日付 1面
大船渡市の新たな産前・産後サポート事業「Mammy(マミー)」が20日、サン・リア2階の市子育て支援センター「すくすくルーム」で始まった。月2回のペースで集団型デイサービスを行い、出産や育児の不安解消に加え、母親同士の仲間づくりを促して孤立化防止を図る。産後や育児の身体的回復、心理的安定を支える「産後ケア」事業も28日(水)以降、県立福祉の里センターで月1回程度実施。妊娠から子育て期まで切れ目のない支援充実を目指す。
サン・リア内で月2回
「産後ケア」も28日から
産前・産後サポート事業では初日、親子1組が利用。事業委託を受けているNPO法人こそだてシップ(伊藤怜子理事長)のスタッフの前で乳児を遊ばせ、普段の食生活や生活リズム、子どものくせなどについて話し、なごやかなひとときを過ごした。
利用した30代の母親は「一人であれこれ考えるより、いろいろ聞いた方がいい。楽しく過ごせた」と話した。
助産師の大上静枝さん(69)は「まずは、お母さんたちの不安解消につながれば。これまでも『ネットにいろいろ書いてあるが、どれが正しいのか』といった声を聞くことがあった。きょうは1組だったが、他のお母さんと顔を合わせながら、子育てを気軽に学んでもらえれば」と、今後に期待を込めた。
この事業は、妊娠や子育て期の不安を軽減しながら、地域の母親同士の仲間づくりを促すことで孤立感の軽減を図り、安心して妊娠期や育児に臨むサポート体制づくりが目的。妊娠や出産・育児に不安を抱えている場合や、身近に相談できる者がいない妊産婦らを対象としている。
今後は月2回、サン・リア内の「すくすくルーム」で午前10時~正午に、集団型デイサービスを実施。1~3組を対象に、助産師や子育て経験者らによる妊娠・出産・子育てに関する不安や悩みへの相談支援などを行う。
利用料は無料。今月は27日(火)にも開催し、11月以降は第2、第4火曜日の実施を計画している。
一方、産後ケア事業は、母親の身体的回復や心理的安定を促すとともに、母親自身の「セルフケア能力」をはぐくみながら、健やかな育児を支える。
同法人に委託し、初回は28日に予定。立根町の県立福祉の里センター内で月1回、個別型のデイサービスを行い、母親の休養促進につながるケアに加え、授乳指導や育児相談にも対応する。利用料は母子1組につき1000円。
市は妊娠から子育てまでの切れ目のない支援に力を入れ、市は平成31年4月に「子育て世代包括支援センター」を設置。これまでも、産前・産後に合わせた保健師による面接など訪問活動を実施してきたが、今回のサポート事業・ケア事業によって、さらなる充実を図る。
全国的に近年は核家族化が進行し、親族から離れた場所で妊娠・出産・子育てに励むケースが増加。社会的・心理的な背景から、親を頼ることができない妊産婦もみられ、地域内の関係機関や住民らが支援し、孤立を防ぐ取り組みが求められている。
同支援センターの鈴木綾子主幹は「転勤に伴って市内に移住したり、核家族世帯も多い中、サポート事業では仲間づくりの観点も重視している。子育てサークルへの参加を促したり、妊婦が育児体験や母親と交流できるような部分も目指している」と話す。
産後ケア事業に関しては「産後になかなか休めず、育児に疲れを感じている方たちに対応し、身体的な休息や心理的な回復ができる場をつくり、支えていきたい」と、力を込める。
いずれの事業も参加者募集は行わず、同センターによる訪問活動などの中で声をかけ、利用を勧める。問い合わせは市子育て世代包括支援センター(℡27・1581)へ。






