楽団発足へ新たな一歩 チェロの体験開始へ 大船渡にオーケストラを作る会

▲ 11月からチェロの体験が始まる(今月25日、陸前高田市内でのバイオリン体験レッスンの様子)

 大船渡市出身の音楽家らでつくり、気仙両市でバイオリンの体験レッスンを展開している「大船渡にオーケストラを作る会」(以下、作る会)は、11月から新たにチェロのレッスンを開始することを決めた。1月の会発足から約10カ月。管弦楽団立ち上げという目標にまた一歩近づき、会員らがさらなる進展へ意欲を高めている。
 作る会は、東日本大震災後の被災地復興に寄与している大船渡市出身のピアニスト・桑原裕子さん=神奈川県相模原市=をはじめ、地元内外の楽団経験者、音楽愛好者らが発足。弦楽器愛好者の輪を広げ、立ち上げを描くオーケストラの団員を育成することを目的に、6月から月3回のペースでバイオリンの体験レッスンを実施している。
 プロのバイオリニストが指導し、楽器の貸し出しも行っている同レッスンには、気仙両市を含む三陸沿岸のほか、内陸の住民も参加。毎月延べ50人ほどの希望があり、現在はこのうち20人余りが継続的に指導を受け、技術向上に励んでいる。
 会員数の増加に伴い、作る会では11月からチェロのレッスン実施も決め、プロ奏者の丹羽あいりさん(桐朋学園大学卒業)に指導を依頼。貸し出し用の楽器を5台確保できる見通しもついた。
 桑原さんは「弦楽器に触れられる機会が少ない気仙で、レッスンを始めた当初はどれぐらいの人に参加してもらえるか分からなかった。コロナのこともあって、長い目で見て〝徐々に会員が増えていけばいいな〟と思っていただけに、現在の状況は本当にうれしい」と喜ぶ。
 来年3月には、レッスン参加者が一堂に会す「発表会」を開き、初の合奏を行う計画。バイオリンとチェロに加え、ビオラやフルートなどほかの楽器のレッスンも、講師を探しながら増やしていきたい考えだ。
 桑原さんは「未来の子どもたちが演奏活動を楽しめるような、音楽文化の〝土壌〟を残せるよう、これからも取り組みを進めていく」と意気込んでいる。
 11月の体験レッスンは20日(金)~22日(日)に気仙両市で開かれる。詳細や問い合わせは桑原さん(℡090・5398・1511、メールofunato.orchestra2020@gmail.com)へ。