来年度以降のスクールバス運行 5路線に縮小の計画案示す 陸前高田市教委
令和2年11月4日付 1面

陸前高田市教委による来年度以降のスクールバス運行にかかる説明会は2日、矢作町の矢作地区コミュニティセンターで始まった。東日本大震災後、児童・生徒の安全確保などのため9路線を維持しているが、本年度末で防潮堤が完成し安全性を確保できる見通しのため、計画案では来年度から4路線分を震災前同様の徒歩などによる通学に戻し、遠距離通学の児童・生徒を対象とする5路線に縮小する。説明会で保護者らの意見を聞いたうえで最終的な方針を固める。
住民向け説明会始まる
説明会は生出、二又、下矢作の3地区住民らを対象に行い、約20人が参加。大久保裕明教育長があいさつしたあと、担当者が計画案を説明した。
国が定める徒歩や自転車による通学距離の基準は、小学生が4㌔以内、中学生が6㌔以内。計画案によると、矢作町に関しては基準を大幅に上回る生出、二又地区の2路線を来年度以降も走らせるが、下矢作地区から高田第一中に通う生徒は震災前と同様、自力通学とする。
参加者からは「下矢作地区の保護者の負担が大きくなり、子どもたちが不便な思いをする。国の補助がない中でもできることはないか考えてほしい」「通学手段を震災前に戻しても、交通環境などは震災前と違う。その点も考慮してほしい」などと要望や意見が聞かれた。
大久保教育長は「下矢作地区への対応は再度検討する」としながらも、「通学距離の小学生4㌔、中学生6㌔の基準にのっとって通学手段を考えており、下矢作地区のみ基準を取り除くのは大変難しく、その点はご理解いただきたい」と、市内全域で一貫した方針としていることへの理解を求めた。
スクールバスは、学校統合により遠距離通学となった児童・生徒の通学を保障しようと平成23年度から運行している。
さらに、震災が発生したため仮設住宅からの通学のサポート、浸水区域を通ることへの不安を解消する対策として、防潮堤が復旧するまでの間は、津波で甚大な被害を受けた地区の児童・生徒らもスクールバスを利用できるようにし、安全な登下校を確保している。
現在9路線で運行し、年間の運行経費は約1億1000万円。市単独で運行しているのは、矢作小、高田第一中生が乗る矢作方面2路線で、年間経費は約2300万円。残る7路線は、国からの補助金を充てて維持している。
国の「復興・創生期間」は、大半のハード整備が完了する本年度末まで。来年度以降、国からの財政支援が終了し、9路線を維持するのは財政上困難なことから、持続可能な運行について検討してきた。
説明会は10日(火)までに計6地区コミセンで開催する予定。
今後の説明会日程は次の通り。カッコ内は対象地域で、時間はいずれも午後7時から。
▽4日=横田地区コミセン(横田地区)
▽5日=小友地区コミセン(小友地区)
▽6日=高田地区コミセン(高田、竹駒地区)
▽9日=広田地区コミセン(広田地区)
▽10日=長部地区コミセン(気仙地区)