若き女性漁業者誕生 ワカメ養殖で独り立ち 神奈川から移住の三浦さん(別写真あり)

▲ 漁業者としてのスタートを切った三浦さん㊨と門出を祝う千田代表

 神奈川県から陸前高田市に移住し、同市のマルテン水産(千田勝治代表)に勤める三浦尚子(ひさこ)さん(29)=小友町=が、ワカメ養殖漁業者として独り立ちし、広田湾漁協(砂田光保組合長)で初の女性正組合員に登録された。同市の「がんばる海の担い手支援事業」の認定も受け、6日、補助金の授与式に臨んだ三浦さんは、「地域で培われてきた技術を継承しつつ、安全安心な広田湾産水産物の魅力を発信していきたい」と意気込む。

 

広田湾漁協正組合員に

 

 三浦さんは相模原市出身。東京の玉川大学に在学し、国際協力関係のゼミに所属していたころ、東日本大震災後に仮設住宅が建った小友町のオートキャンプ場・モビリアにボランティアで足を運んだのが、陸前高田市と縁を結ぶきっかけになった。
 当時、仮設住宅に住んでいた千田代表と知り合い、交流を深めた。大学を卒業する年、「陸前高田のワカメ養殖の作業で人手が足りない」という話を受け、1カ月間の漁業アルバイトに参加したところ、同市の漁業者らとの協働が「とても楽しく、大事な時間に思えた」と、移住を決心した。
 平成26年からはマルテン水産の従業員として勤務。約6年半、ワカメやカキ養殖の仕事に携わり、漁業者らからノウハウを学んだ。先月には、同漁協で初となる女性の正組合員に登録され、ワカメ養殖漁業者としての一歩を踏み出した。
 同市が同漁協と連携し、新たな漁業者獲得のため補助内容を拡充させた令和2年度「がんばる海の担い手支援事業」の認定も受けた。三浦さんは本年度の同事業新規認定第1号で、6日に広田町の同漁協本所で開かれた補助金授与式で、砂田組合長から目録を受け取った。
 式では、砂田組合長が「新たな漁業の担い手となっていただいたことは、高齢化や担い手不足が続く市内において非常に喜ばしい。漁業の魅力を発信し、同じような担い手の仲間を増やしてほしい」と期待をかけた。
 同事業による補助金は、船外機など資材の購入に活用する予定。三浦さんはマルテン水産での仕事も継続しつつ、今後本格化するワカメ養殖に備えるという。
 「仕事を始めたばかりのときは、環境に慣れておらず、すぐ体力もなくなっていた。ここまで続けてこられたのは、『自分がいることで、みんなの力になれたらいいな』という、お世話になった皆さんへの恩返しの気持ちがあったから」と6年間を振り返る三浦さん。
 漁業の〝師〟である千田代表からも「一人前の漁業者に」とエールを受け、「一人でやれることは限られているけど、周囲の人たちと協力し合いながら、できることを増やしていきたい。漁業や広田湾の風景を撮った写真をSNSでアップするなど『漁業ってかっこいいんだよ』ということを多くの人に知ってもらえるようがんばりたい」と笑顔を広げた。