貸し手責任問う声も 三木・ランバーの問題で 住民説明会始まる

▲ 五葉地区を皮切りに住民説明会が始まった

 住田町は10日、破産手続き開始決定を受けた三陸木材高次加工協同組合(三木)と協同組合さんりくランバー(ランバー)に関する住民説明会を開始した。初日は上有住の五葉地区公民館で開かれ、出席者からは、町の「貸し手責任」を問う意見が上がった。説明会は13日(金)まで、町内計5カ所で行われる。
 両事業体に関する住民説明会は、平成29年の調停申し立て議決時以来。この日は地域住民ら約20人が出席。町側からは神田謙一町長、横澤孝副町長、千葉純也林政課長らが臨んだ。
 説明では、平成29年の両事業体や連帯保証人に対して立木未収金を含めた計10億円超の支払いを求める調停議決から調停不成立、その後の対策チーム立ち上げ、今年7月31日の破産申請と8月14日の破産手続き開始決定、盛岡地裁一関支部への提訴など、これまでの経過について説明。調停が不成立となったあとに町が事業体に送った催告書やそれに対しての回答、再建計画を巡る文書でのやりとりなども公表し、三木側から今年4月、債務の返済ができないことや、現状の資金繰りも厳しいとの報告を受けていたことも明らかにした。
 その後の意見交換では多くの質問・意見は上がらなかったが、出席者の一人からは貸し手側である町の責任を指摘する声もあった。
 指摘した自営業の40代男性は「町の産業に関わる事業だったので貸し付け自体には反対ではなかったが、貸した側の責任の所在というのははっきりさせてほしい」と話していた。
 両事業体は、平成19年に経営危機が判明。町から両事業体合わせて約7億9000万円の公金融資を受けて経営再建を進め、26年度から年度当たり約3100万円を町に償還する計画だったが定められた額の償還ができない状況が続いていた。
 このため、町は29年、両事業体や連帯保証人に立木未収金を含めた計10億円超の支払いを求める調停を大船渡簡易裁判所に申し立てたが、支払い提示額との開きがあり不調に終わった。
 その後、両事業体は事業継続を断念し、今年7月31日付で盛岡地方裁判所一関支部に破産を申請。8月14日付で同支部から破産手続き開始決定を受けた。
 町では連帯保証人とその相続人計19人に対し、農林業振興基金からの貸付金残金と利息、違約金など合わせて約10億5000万円の支払いを求めて盛岡地裁一関支部に提訴している。
 令和元年度までの償還額は、三木が計1272万円、ランバーが計900万円で、貸付金のほとんどが未回収となっている状態。町は、今後、破産管財人による債権整理の中で配当を受けたとしても、町債権の全額回収は「非常に厳しい」との見方を示している。
 10日には大股地区公民館でも開かれた。
 今後の日程次の通り。時間は午後7時から。
 ▽11日=下有住地区公民館▽12日=有住中学校体育館▽13日=役場町民ホール