大船渡市魚市場サンマ水揚げ量 低水準も前年超え 10月末現在

▲ 10月下旬以降、300㌧超のまとまった水揚げも続くサンマ。漁場は三陸沖まで南下した中、今後どれだけ巻き返しを図れるか

 全国さんま棒受網漁業協同組合(全さんま)は、令和元年・2年の対比サンマ水揚げ状況を発表した。10月31日現在、大船渡市魚市場への水揚げ数量は前年同期比5%増の2047㌧で、金額は同34%増の10億9613万円。今季も厳しい不漁を反映して低水準となっているが、全国漁獲量が過去最低ペースで推移する中で前年超えとなり、健闘ぶりが浮かび上がる。同魚市場は水揚げ量、金額とも全国2位で、本州ではトップを維持している。

 

数量・金額とも本州トップ
全国漁獲量は過去最低で推移

 

 全さんまによると、同日現在の全国数量は前年同期比36%減の1万2913㌧。深刻な不漁が続き、金額も同6%減の76億5587万円となっている。昨年の漁獲量は、過去最低に終わった。
 数量は、北海道分が同7525㌧減の7915㌧にとどまり、ほぼ半減。本州合計では4997㌧で、同138㌧上回った。金額は北海道分が50億6954万円で同19%減、本州合計は25億9632万円で、同37%増となっている。
 県内数量2354㌧(前年比363㌧減)のうち、大船渡が2047㌧と8割以上を占める。今季の大船渡への初水揚げは8月29日。北太平洋公海で漁獲した中~小型主体の計4㌧が水揚げされ、1㌔当たりの価格は3250円~1875円だった。最高値は前年の3倍超となり、かつてない状況下でのスタートとなった。
 例年ならば北海道沖で漁獲されるサンマだが、昨年に続く不漁のため大型船は北太平洋の公海で操業。港から漁場が遠いこともあって水揚げ効率が悪く、低水準が続いた。
 8月から9月前半の数量は25㌧に満たず、昨年同時期の52㌧の半数以下に。それでも、大船渡が本州唯一の水揚げとなり、地元大型船の寄港などによって〝希少な〟サンマが集まった。
 10月に入り、300㌧を超える日も続いて数量は前年を上回ったが、漁船関係者や水産加工業者は「厳しい」と口をそろえる。昨季の数量は20年ぶりに1万㌧の大台を割る6000㌧台にとどまり、今季もほぼ同じペースで推移している。
 今季の水揚船隻数は52隻で、昨年より7隻増加。1㌔単価は535・4円で、前年の417・6円を117円(28%)上回った。
 数量のトップは北海道の花咲港で6341㌧(前年比6104㌧減)。金額も同港が42億9295万円(同9億6247万円減)で1位となった。これに続くのが大船渡で、本州一を維持している。
 11月に入り、漁場が三陸海域となったことなどから、大船渡への寄港隻数が増加。300㌧前後のまとまった数量もある一方、しけなどで漁場に出られず、水揚げがない日も多い。
 一般社団法人・漁業情報サービスセンターは9日、第7回サンマ中短期漁況予報を発表。主漁場となる11月中旬~下旬の三陸海域は「低位水準」で推移。12月上旬は同水準のまま減少となり、同中旬の魚群の来遊は断続的になるとしている。
 漁場は12月上旬までは三陸南部に漁場が形成され、同中旬は形成されない見込み。三陸海域より南側の常盤海域は「11月中旬~12月中旬は低位水準。12月下旬は断続的な来遊になる」としている。