連帯保証人の動向に関心 三木・ランバー破産問題 町の提訴に連携しての対応協議も

 住田町が多額の公金融資を行っていた三陸木材高次加工協同組合(三木)と協同組合さんりくランバー(ランバー)の破産問題で、町融資の連帯保証人らの動向に関心が高まっている。町は連帯保証人や相続人計19人に対し、農林業振興基金からの貸付金残金と利息、違約金など合わせて約10億5000万円の支払いを求める訴えを、盛岡地裁一関支部に提起。これを受け、複数の連帯保証人らが連携し、対応を協議する動きも出ている。連帯保証人の一人は「明らかにしたいことが多々ある」と話す。

 

連携しての対応協議も

 

 両事業体は、平成19年に経営危機が判明。両事業体は町から合わせて約7億9000万円の公金融資を受けて経営再建を進め、26年度から年度当たり約3100万円を町に償還する計画だったが、定められた額の償還ができない状況が続いていた。
 このため、町は29年、両事業体や連帯保証人に立木未収金を含めた計10億円超の支払いを求める調停を大船渡簡易裁判所に申し立てたが不調に終わった。その後、両事業体は事業継続を断念し、今年7月31日付で盛岡地方裁判所一関支部に破産を申請。8月14日付で同支部から破産手続き開始決定を受けた。
 先月21日には町議会臨時会が開かれ、両事業体の連帯保証人とその相続人に対し、貸付金残金と利息、違約金など合わせて約10億5000万円の支払いを求める訴えを提起する当局議案を審議。全会一致で可決し、盛岡地裁一関支部に訴状を提出した。
 議決を受け、話し合いの場を持ったという連帯保証人ら2人は、それぞれが保管する書面のコピーを共有するなどして、訴訟への準備を進めている。
 東海新報社の取材に対し「われわれには何らメリットはないが、迷惑はかけないからと言われ、住田町を助けたい一心で判を押した」などと主張。
 2人はかつて、各事業体で理事を務めていた。「融資を受けた当時の理事は、退陣するよう言われた。ほかに引き受ける方がいないのでそのまま残ったが経営権はなく、融資の支払い状況も理事会には一切報告はなかった」「裁判の結果次第では、私たちはこの債務によって破産する事も考えられる。住田町のために協力したのに、なぜこのような理不尽な目に遭わなければいけないのか。町民の方々にも、もう一度考えてほしい」とも語る。


 今月9~13日に町内5地区で開催された住民説明会では、出席者からは町融資に至る経緯や、融資を実行した町の責任、両事業体の経営に関する問題点を問う声が上がった。町側は「裁判の中で明らかになってくると考えられる。この場では確たる答えができない」などと述べ、住民に理解を求めた。
 また、町外在住の連帯保証人らは入場が認められず、住民として出席した林業関係者とのやりとりの中でも、融資時の経緯にかかる詳細は明らかにされなかった。連帯保証人の中からは「外部の有識者団体に依頼して調査する必要があるのでは」とする意見も出ている。
 説明会で町側は、訴訟手続きは「地方自治法上、避けられなかった。判例にあるがこれに関して、町長に自由裁量権はない」と説明。住民にも債権回収を優先する声は根強い。一方で、町内産業にかかわってきた連帯保証人も多く、町との対立や訴訟負担が経済面に影響するのではないかとの懸念もある。
 説明会で町が示した経緯(抜粋)は別掲。