大船渡湾の眺め楽しんで 「みなと公園」が供用開始 県が復旧整備(別写真あり)

▲ 須崎川河口部左岸側に完成した「みなと公園」(今月10日撮影)
防潮堤を生かした築山から大船渡湾が眺められる「みなと公園」

 東日本大震災で被災後、県が復旧整備を進めてきた大船渡市大船渡町茶屋前地区の港湾緑地「みなと公園」が完成し、20日に供用を開始した。この日はあいにくの雨に見舞われたが、公園には散歩中の地域住民らが足を運び、防潮堤を生かして設けられた築山や海に面したテラスから大船渡湾の眺めを楽しむなどした。公園は市の夢海(ゆめみ)公園と隣接しており、今後はイベントなどでの一体的な利活用なども通じ、中心市街地の活性化にも寄与すると期待される。

 

大震災で被災 
防潮堤生かした構造に

 

 みなと公園は、港湾利用者が休憩するための緑地として、大船渡湾に面した須崎川河口部の左岸側に位置。震災前は地域住民の憩い、健康づくりの場などとして利用されていたが、津波で被災後は閉鎖していた。
 県は「大船渡港茶屋前地区海岸環境整備工事」の一環で、被災したみなと公園の復旧工事を実施。海岸防護を目的とした防潮堤(延長約460㍍、TP7・5㍍)などと併せて整備した。公園のあり方や施設配置などは、大船渡市が平成28年度に開催したワークショップで参加市民らから寄せられた意見を反映した。
 施工は花巻市の㈱たかしん興業が担当。事業費は約2億5000万円で、昨年10月24日に着工し、今月14日まで行われた。
 公園部分の面積は震災前とほぼ同じ約0・35㌶だが、その姿は復旧後、大きく変化。新たな公園は、防潮堤を挟むように盛り土をし、高さ7・5㍍の築山を造成。頂上には、大船渡湾内を眺望できる「展望広場」を設けた。
 海側には、大船渡湾を間近に感じられる「テラス広場」が広がり、展望広場から階段やカラー舗装の園路を通じて行き来が可能。園内には、あずまややベンチ、太陽光発電式の街灯を設置している。
 公園から茶屋前橋付近までの約500㍍間は、防潮堤に沿って盛り土、植生を施し、街並みを感じながら散策できる園路、階段(公園内も含む6カ所)を整備。各所にベンチが配置され、防潮堤に設けられた「窓」からは海側を眺めることができる。
 供用開始を迎え、早速散歩中の市民らが公園を利用。展望広場やテラス広場から海の眺めを楽しんだり、潮風を感じながら園路を散策した。
 散歩の途中で公園を訪れたという大船渡町の70代男性は、「普段はサン・アンドレス公園のあたりなどを歩いているが、海沿いに高い防潮堤が建てられた中で、じかに海を眺められる場所ができたのはいいと思う。みんながマナーを守って使ってもらえたら」と話していた。
 みなと公園は震災後の新たな中心市街地の一画にあり、イベントなどで隣接する夢海公園との一体的な利用も想定。住民の憩いの場としてはもちろん、中心市街地のにぎわい醸成、観光振興を図る場にもなりそうだ。