「三面椿の種」宇宙へ 復興支援への感謝を発信 ISSから全世界に(別写真あり)

▲ 三面椿から採取した種が国際宇宙ステーションに打ち上げる記念品に

 東日本大震災から10年の節目に、国際宇宙ステーション(ISS)から全世界に復興支援への感謝を発信する「東北復興宇宙ミッション2021」の一環で、大船渡市末崎町の熊野神社(志田隆人宮司)に伸びる三面椿の種が記念品に選ばれた。記念品を乗せたロケットは来年5月、米国の施設から同ステーションに向けて打ち上げられ、地上帰還後の種は市内で育てることにしている。

 

来年5月にロケット打ち上げ

帰還後は市内で育成

 

 22日に同神社境内で贈呈式が行われ、志田宮司が市企画政策部の武田英和部長に目録を贈呈。武田部長は「貴重な種をいただいた。新型コロナウイルスによる不安な生活が続く中で夢のある事業であり、帰ってきた種は震災の風化防止や教訓伝承に活用したい」と感謝した。
 終了後は、三面椿の下で関係者が記念撮影。市のPRキャラクター・おおふなトンも駆けつけ「宇宙から帰ってくるのが楽しみだトン!」と期待を込めた。
 樹高約10㍍、株元の幹回りは約8㍍の三面椿は、本殿の東西南3面に植栽された樹齢数百年のツバキ3本のうち、唯一残ったものとされる。樹齢1400年は日本最古ともいわれ、昭和44年に県が天然記念物に指定した。
 東日本大震災時は三面椿を囲む石垣まで津波が押し寄せたが、浸水被害は免れた。以降、ツバキを生かした産業振興や地域活性化などのシンボル的な存在であり続ける。
 今回寄贈した種は、9月から10月にかけて採取したもの。一般的に黒く、大きなものが育ちやすいといい、数ある種の中から神社や市の関係者が厳選した。
 志田宮司は「復興を見守ってきた木であり『ツバキを見てがんばることができた』という声もいただくなど、多くの人々を明るい思いにさせてきた。記念品の一つに選ばれたことは大変光栄であり、うれしい」と話している。
 東北復興宇宙ミッション実行委員会は、山崎直子宇宙飛行士を実行委員長とし、岩手、宮城、福島各県の42自治体の首長らで構成。気仙両市長も委員に名を連ねている。
 発災10年の節目に、世界中から寄せられた支援への感謝を国際宇宙ステーションから発信する取り組み。JAXAの協力を得ながら準備が進む。
 来年2月ごろには、各自治体の写真をまとめた横断幕、5月ごろには記念品がそれぞれ収められたロケットを、米国の施設から国際宇宙ステーションに向けて打ち上げる。横断幕と記念品は6月ごろに地上帰還を予定し、7月には日本に戻るスケジュールとなっている。
 各自治体では、打ち上げに向けて記念品を準備。地方帰還後に地域活性化や産業創生、教訓の伝承などへの活用を見据えており、地域を代表する花や農作物の種子選定が多いという。
 大船渡市では打ち上げに向け、市内小学校の協力を得て、子どもたちの笑顔の写真を用意。来月14日までは、復興支援への感謝のメッセージ(150字程度)も募集する。
 メッセージは国際宇宙ステーションで宇宙飛行士が発信し、来年3月11日には世界公開される予定。
 募集に関する問い合わせは市企画調整課地域交流係(℡27・3111)へ。