「住田産イチゴ」副原料に オリジナルビール販売 JR盛岡支社

▲ 28日から、住田町産のイチゴを使ったビールが販売開始となる

 JR東日本盛岡支社は28日(土)から、住田町産のイチゴを副原料に使用したオリジナルビールを県内7駅などで販売する。同支社と遠野市、キリンビール㈱岩手支社による連携協定の一環として開発されたオリジナルビールの第3弾の商品。JR盛岡支社では、このビールの販売を通じて地域の活性化を──と、期待を込めている。

 

28日から県内7駅などで

 

 JR盛岡支社では、遠野市、キリンビール㈱岩手支社と相互に連携・協力し、遠野エリアの地域活性化を推進するため、平成30年6月に「遠野エリアにおける地域活性化に関する連携協定」を締結。農林畜産物の生産やその加工品の製造販売を含む遠野エリアの産業振興、生産者、加工者と連携した観光の振興などを図っている。
 この協定の一環として、地域の食材を生かしたオリジナルビール「TONO BEER」シリーズを開発。同シリーズは、SL銀河が運行する釜石線沿線の活性化と産業振興を目的に、同線沿線や三陸沿岸地域の素材を副原料として使用したクラフトビールで、遠野市で作られた「大槌復興米」を使用した「GOLDEN ALE」、遠野産ホップ「IBUKI」と遠野産小麦を使用した「HAZY IPA」がすでに発売されており、今回、第3弾として住田町産のイチゴを使用した「STRAWBERRY STOUT」の発売が決まった。
 冷涼な気候を好むイチゴは、住田の気候にあった品目として昭和30年代半ばから町内での栽培が始まり、同50年代には町内で100戸以上の農家が取り組んだ。その後は農家の高齢化、担い手不足によって生産者が減少したが、現在、町では「ストロベリープロジェクト地域おこし協力隊」を募集し、生産者の育成や産地づくりに取り組んでいる。
 ビールの原料となっている町産イチゴは「北の輝(かがやき)」と呼ばれる品種で、寒冷地と温暖地での栽培に適している。食感がよく、ショートケーキのイチゴにも好んで使われている。
 オリジナルビールの内容量は330㍉㍑。ほのかな酸味と、ほんのりとした苦みがある優しい飲み口で、ラベルには、釜石線を走るSL銀河の力強さと質感が表現されている。
 販売希望価格は1本600円(税抜き)。販売数量は4000本で、主な販売箇所は一ノ関、水沢江刺、北上、新花巻、花巻、釜石、盛岡の各駅内の店舗や遠野市内の酒販店、スーパーマーケット、道の駅風の丘、観光施設など。今後、売れ行きや反応を見ながら販路拡大を検討していく。
 製造を担当した上閉伊酒造㈱の醸造士・坪井大亮さんは「口に含んだ時にイチゴの香りや酸味が感じられ、飲みやすく、親しみやすい仕上がりとなった。ケーキなど甘みのある菓子類にも合うと思う」と太鼓判を押す。
 JR盛岡支社の中井勝彦事業課長は「釜石線沿線に足を運んでいただくきっかけになれば」と、交流人口拡大や地域活性化に期待を込める。