「三陸おでん」普及拡大を 地活研と飲食店が団体発足 提供開始店舗も

▲ 地元食材のおいしさを生かす「三陸おでん」の取り組みがスタート

 大船渡市の地域活性化総合研究所(新沼謙治代表取締役、地活研)と市内の飲食店による任意団体「三陸おでんの会」(菅生正一代表)がこのほど発足し、「三陸おでん」の普及に向けた取り組みを進めている。漁獲量減少への対応や、三陸沿岸道路全線開通による車両での旅行ルート開拓などを見据え、新たなご当地グルメによる付加価値向上を目指し、ブランド確立に取り組む。提供を始めた飲食店も出てきており、さらなる広がりが注目される。

 

食材の魅力発信へ新機軸

観光や物販開拓も見据え

 

 近年、三陸沿岸では主力魚種の漁獲量が減少傾向にあり、物量確保だけでなく付加価値をつけた流通が重要に。さらに、三陸沿岸道の全線供用開始が近づく中、多くのインターチェンジから無料で乗降できる優位性を生かした、車両による新たな旅行ルートの確立も求められている。
 こうした中、地活研では、市が進める「『三陸マリアージュ』取扱事業者等調査及び訪問開拓等・販売チャネル多様化展開」の一環で設立準備を進めた。同事業では東京都杉並区にある大船渡ふるさとセンター「三陸SUN」を生かし、地域に根ざした食品や菓子、飲料、酒類などの複数商品を組み合わせたストーリー性ある商品企画に加え、効率的な配送のあり方などを検討してきた。
 おでんは、鍋に比べてテークアウトに対応でき、具材一つ一つのアピールがしやすい。海産物にとどまらず、三陸沿岸の豊富な食材や加工品を具材にして、それぞれの魅力やこだわりを伝えやすい良さもある。
 先月26日に団体が設立し、大船渡市盛町の千秋庵では早速提供がスタート。地元・丸橋豆腐店のがんもどきや厚揚げ、アマタケが手がけるかも肉の団子などを入れ、かつお節のだしと酒のみによる優しい味わいが特徴で、自家製の味噌だれも用意している。
 さらに、同町の「養老乃瀧盛店」や、大船渡町の「活魚すごう」でも、来年からのスタートに向け検討が進む。同団体では地元の具材を何割入れるかや、たれに関するルールなど「定義」の確定を進め、近く飲食店向けの説明機会を設けることにしている。
 入会は三陸沿岸道が通る宮城・石巻から青森・八戸までの飲食店や生産者、観光関連団体のほか、首都圏などで提供できる飲食店や流通関係者も加える。さまざまな具材を合わせて一つの料理となる、おでんの強みを生かす。
 公認店にはのぼりを提供するほか、各店オリジナルのおでん料理開発も支援。公式ホームページやSNSで情報発信も行う。
 また、三陸SUNでは、大船渡産の養殖アワビやカキ、ワカメなどの食材をセットにした物販事業も。注文に応じて直送する通信販売などを手がけることにしている。
 地活研の福山宏主席研究員は「東京に暮らしている側の目線で『あったらいいな』と思うものを形にしていきたい。『オール三陸』で地域資源の付加価値向上につながれば」と話す。
 同会に関する問い合わせは地活研(大船渡テレワークセンター内、℡090・9034・4762)へ。