「三陸ビール」が特別賞 新東北みやげコンテスト 気仙の素材を副原料に
令和2年12月4日付 7面

大船渡市大船渡町に本社を置き、クラフトビールの開発・販売などを手がける「三陸ブルーイング・カンパニー合同会社」が販売している「三陸ビール」シリーズが、第7回新東北みやげコンテスト(仙台市産業振興事業団主催)で「お取り寄せ特別賞」に選ばれた。同社は東京都在住の南忠佑(ただすけ)さん(43)が一昨年設立したもので、気仙の素材を副原料としたビールを開発。南さんは受賞を契機に、さらなる東北、気仙のPRに意欲をみせている。
大船渡の合同会社が開発
同コンテストは、東北の新しい土産を発掘・表彰し、バイヤーや消費者に向けた商品PRと販路開拓を支援しようと平成26年から行われている。
今回は東北6県の企業から食品や工芸品など過去最多となる273点の応募があり、三陸ビールは最優秀賞、優秀賞に次ぐお取り寄せ特別賞に輝いた。
受賞した三陸ビールは、「週末のうみねこ」(令和元年11月発売)、「恋するセゾン」(2年4月発売)、「伊達男IPA」(同6月発売)、「ばばばスタウト」(3年2月発売予定)の4種。
このうち、「週末のうみねこ」には大船渡のツバキ、「恋するセゾン」には陸前高田のゆずとサンショウ、「ばばばスタウト」には大船渡のカキが副原料として使用されている。
趣味で醸造所に通って勉強を重ねていた南さん。妻・佳代子さんが大船渡町出身という縁で頻繁に気仙に通う中、ビールの副原料として魅力的なものが数多くあることに気づき、平成30年に同社を設立。特定の醸造所を持たず、全国各地に委託醸造しながら三陸の素材を使ったビールの製造を行っている。
三陸ビールは、昨年はイベント出店での販売が中心だったが、今年に入って新型コロナウイルスが流行して催しの中止が相次いだため「これまでのやり方では生き残っていけない」と、気仙地区内の道の駅や飲食店、都内のアンテナショップ、自社のオンラインショップなどでも幅広く販売を開始。
大船渡商工会議所が中小企業経営支援策として展開する「大船渡ふるさと応援便」でも取り扱われており、6本セットを4200円(税込み)で販売している。
三陸ビールは、東北旅行の土産、贈答用のほか、ホームパーティーでの利用も多く、ラベルデザインには三陸を感じられて親しみも持てるようなイラストを使用しており、〝インスタ映え〟するビールとしても人気を集めているという。
南さんは「会社設立2年目でこうした賞をいただけて光栄。震災後に生み出された素材を副原料にしているので、〝新しい東北〟の魅力を発信するビールにしていけたら」と話している。