菅首相が陸前高田入り 復興祈念公園を視察 岩手・宮城両県を初訪問(別写真あり)
令和2年12月11日付 1面

菅義偉首相は10日、陸前高田市を訪問した。同日は、首相就任後初めて岩手、宮城両県の東日本大震災被災地を訪れ、同市では県内で唯一、国営追悼・祈念施設が入る高田松原津波復興祈念公園を視察した。
菅首相は同日午後0時20分ごろ、同公園を訪問。平沢勝栄復興大臣らが同行し、達増拓也知事や戸羽太市長、東北地方整備局の梅野修一局長らが迎えた。
菅首相、平沢大臣は国営追悼・祈念施設の「献花の場」で花を手向け、広田湾に向かって黙とう。震災の犠牲者に追悼の祈りをささげた。
戸羽市長は、昨年9月にオープンした公園内の道の駅「高田松原」や同市の復興状況などを説明。被災跡地の利活用や企業誘致を進めるうえでの国からの支援を要望した。
菅首相は約10分間の視察を終え、出発前には道の駅そばで待ち構えていた市民らとグータッチをするなど交流の場面も。高田町の熊谷かずえさん(38)は、長男の雪杜(ゆきと)ちゃんを抱っこしてもらい「記念になりました」と感激し、「少子化が進むからこそ子育て世代への支援をもっと手厚くしてほしい」と政府に求めた。
菅首相は、7年8カ月余の歴代最長政権となった安倍政権からバトンを引き継ぎ、9月16日に就任した。初の地方視察として、同月26日に福島県沿岸部を訪問し、東京電力福島第一原発などを視察した。
10日は、宮城県東松島市の復興再生多目的施設「あおみな」、石巻市の石巻南浜津波復興祈念公園、同市の観光交流拠点施設「いしのまき元気いちば」、宮古市の震災遺構「たろう観光ホテル」なども訪ねた。
高田松原津波復興祈念公園は国、県、市が一体となって平成29年3月から整備しており、広さは約130㌶。昨年9月には、道の駅「高田松原」、東日本大震災津波伝承館、国営追悼・祈念施設の一部が利用を開始した。
道の駅や同伝承館には県内外から多くの観光客が訪れている。来春には園内に点在する震災遺構のうち、タピック45(旧道の駅高田松原)や旧気仙中校舎の内部公開が始まり、7月には高田松原の海水浴場が復活する。
戸羽市長は「『東北の復興なくして日本の再生なし』という首相の思いを感じることができた。ハード事業はほぼめどがついているものの、一部事業は遅れが生じており、しっかり復興を完遂できるようにする。基盤が整ったあとのなりわい、魅力づくり、地方創生を国も一緒に考えてほしい」と注文した。