新型コロナウイルス/飲食店などに厳しい冬 忘・新年会の予約激減 年祝いもキャンセルで営業継続にも危機感募る 気仙

▲ 忘・新年会シーズンを迎えたものの、気仙の飲食店などでも予約減やキャンセルが相次いでいる(11日、大船渡町)

 全国的な新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、気仙でも年末年始の忘年会や新年会、年祝いなどに自粛の動きが出ており、飲食店やホテル、宴会場などが大きな打撃を受けている。飲食店などにとって、宴席が多くなる年末年始はかき入れ時となるが、今年は感染予防を理由に予約数が激減し、キャンセルの連絡も相次いでいるという。この厳しい冬の現状に、経営者らは今後の営業継続にも危機感を募らせている。

 

 「忘・新年会の予約が入らない。入っても2、3人単位の個人客が1日1組入ればうれしいぐらい。正月の年祝いも、2次会や3次会などの利用で1日2、3回転できるのに、すべてキャンセルになった」と話すのは、大船渡市大船渡町のキャッセン・フードビレッジ内で「Noi Mare (ノイマーレ)」など2店舗を営む新沼崇久代表(50)。
 10月に少し戻ってきたかと思われた利用客は、11月に県内の飲食店で新型ウイルスの感染が拡大し、気仙からも患者が発生すると、一気に減ってしまったという。新沼代表は、「雇用調整助成金を使いながら従業員に給料は払えるが、家賃や光熱費などの固定費の支払いは変わらない。そう考えると店を開けなければと思ってしまうが、予約が入らない」と、苦しい胸の内を明かす。
 「売り上げは例年の3分の1ぐらいまで落ち込んでおり、どこまでもつか。GoToキャンペーンなどのクーポン利用もあるが、換金まで時間がかかり、現金が入ってこない。何か支援が必要」と訴える。
 盛町の盛駅前にある居酒屋「サカリのアカリ」は、時間短縮をしながら営業を続ける。栗村紀孝店長(41)は、「忘年会の予約は一切入っていない。先週はボーナスの時期で多少お客さんが入ったが、それでも多いグループで3~4人。平日は暇な状態が続いており、近隣の店では定休日でなくても閉めているところもある。補助金などが出るなら店を休むことも考えられるが、今は少ないお客さんを何とか確保しながらやっていくしかない。先が見えなすぎてどうしようもない状況だ」と嘆いた。
 陸前高田市高田町にある「カフェフードバーわいわい」の太田明成店長(54)は、「忘年会シーズンは、例年であれば週に10件ほどの予約が入るが、今年はない。唯一入っていた団体予約1件もキャンセルとなった。新年会も、昨年は元日から5日にかけて10件以上の予約が入ったが、今月14日現在でゼロの状態」と口にする。
 GoToキャンペーンの恩恵は「感じていない」といい、「売り上げが減る中、通常営業と併せて弁当の販売も行っているが、コロナの影響による損益分を補うにはほど遠い。飲食業界は今もなお、苦しい立場に置かれている」と厳しい表情を見せた。
 飲食店と同じく、忘・新年会などの利用が多いホテルや宴会場も大きな影響を受けている。気仙のあるホテルでは忘・新年会、年祝いの予約がすべてキャンセルに。国の観光支援事業「GoToトラベル」の追い風で、宿泊する団体客がこの秋から増加傾向にあったが、同事業も28日から一時停止が決まり、先行きを不安視する。
 大船渡市内のある宴会場経営者は、「今月は通常の宴会としてではなく、会議後の食事といった利用にとどまっている。年末年始の宴会、年祝いや前祝いは予約がいくつか入っていたが、いずれもキャンセルになった。どこも延期ではなく、中止という連絡が多い」と話す。
 「従業員の感染防止対策や体調管理は徹底しており、室内は24時間換気の構造。今は売り上げがなく、夏場に受けた持続化給付金もすでに底をついた。新しいことをやっていかなければ、本当に厳しい」と、危機感を募らせている。