商業施設「カモシー」開業 「素晴らしい店」住民感激 今泉のにぎわい創出に期待(別写真あり)
令和2年12月18日付 7面

陸前高田市のまちづくり会社「醸(カモシー)」(田村滿社長)が、気仙町今泉地区に整備した商業施設「陸前高田 発酵パークCAMOCY(カモシー)」は17日に開業した。発酵をテーマとする8店舗が入り、オープンを待ちわびた市民らが来店。同地区は東日本大震災で壊滅的被害を受け、今なお復興の途上。再興への旗印となる商業施設が誕生し、地元住民も「今泉に素晴らしい店ができた」と喜ぶ。
17日は現地でオープニングセレモニーがあり、入店事業者をはじめ関係者ら約30人が出席。田村社長は「震災から10年近くたち、やっとソーシャルビジネスの拠点ができた。今泉から陸前高田、気仙に幸せを届けたい」とあいさつし、戸羽太市長や平岩裕規岩手復興局長、渡邉政嘉東北経済産業局長が祝辞を述べた。
正面出入り口前でテープカットが行われたあとオープン。市民らが続々と訪れ、食堂で発酵食品を使った料理を注文するなど楽しんでいた。
小友町の菅野春子さん(64)は木のぬくもりあふれる施設内を見渡し、「とてもいい雰囲気で、にぎわうと思う。また来ます」と笑顔で話した。
今泉地区の鈴木サキ子さん(79)は「これまでは高田町まで行って買い物していたが、近所に店ができてみんな喜んでいる。おしゃれで、おいしそうな総菜も豊富で、毎日のように来たいです」と感激していた。
建設地は気仙川右岸のかさ上げ地で、施工は同市の㈱吉田建設(吉田光伸代表取締役)が請け負った。木造平屋で、広さは約710平方㍍。建設費は約1億8800万円。国の津波・原子力災害被災地域雇用創出企業立地補助金を活用した。
震災前親しまれた蔵造りのまち並みを踏まえ、蔵が連なっているような外観に設計。建材には今泉のマツやスギ材を使用した。震災で全壊し、復旧工事を進める施設そばの姉歯橋は16日に開通し、施設へのアクセスが向上した。
「陸前高田マイクロブルワリー」(熊谷克郎店主)は、年明けにも店内でクラフトビール醸造を始め、来年2月ごろからの提供を目指す。熊谷店主(39)は「陸前高田にビール文化を根付かせていきたい」と意気込む。
営業時間はパン店が午前9時~午後5時、それ以外が午前11時~午後7時。来年3月の本格オープン後は、週末に限り一部飲食店の閉店時間を午後10時までに延ばす予定。火曜日は全館休館。