高齢者の「足」どう確保 移動手段じっくり議論 矢作町2地区で
令和2年12月19日付 6面

陸前高田市矢作町の生出、二又両地区で、高齢者らの移動手段を自力で解消しようと、地域支え合い会議が行われている。高齢化が深刻で、「生活の足」確保が喫緊の課題である一方、持続的な対策を練り上げるため住民合意を優先した腰を据えた話し合いが進む。横田町で行われている乗り合いバスの実証実験を参考にしつつ、地域事情にマッチした独自の移動手段を探っている。
持続的な対策目指す

二又地区の支え合い会議
地域支え合い会議は、各地区で設置が進む住民主体の支え合い協議体が定期的に開催。高齢者らの住みよい暮らしを構築しようと話し合っており、生出、二又両地区は本年度から移動手段をテーマに据えている。
このうち、生出地区の本年度2回目の会議は9日、同地区コミュニティセンターで開かれ、住民ら約20人が参加した。
参加者からは「(県交通の)路線バスが廃止されたら困る」という声が聞かれ、利用促進につなげるバス体験会実現に向け、日時や周知の仕方など具体的に協議。近く開催する方向でまとまった。
一方で、横田地区で試験的に行われているような乗り合いバス運行は、運転手を務める人手不足を理由に「生出地区では厳しい」と判断。
市による「ふるさとタクシー助成事業」の利用法を高齢者に周知していくことも確認した。
二又地区の第3回会議は、16日に矢作地区コミセンであり、約20人が参加。横田地区の実証事業を参考にしながら、「二又方式」の乗り合いバスを運行できるかどうかを検討した。
市担当者が、実証事業の運営主体や利用対象者、運行日時・ルートなどを説明。そのうえでドライバー確保策を協議し、「横田のように12人程度集められれば1人当たりの負担は減る。他地区からも募るなど協力を呼びかけてもいい」「運転は住民でなく、他団体に委託するのも手段の一つ」などと意見を出し合った。
矢作地区コミュニティ推進協議会の佐々木公一会長は「いつになるかは分からないが、個人的には横田のような乗り合いバスを運行してみたい。ただどうするかは、みんなで考える。時間がかかっても話し合って決めていきたい」と先を見据える。