2020気仙この一年/記者の取材ノートより③【選挙・政治】
令和2年12月20日付 1面
大船渡市議選は少数激戦に
8年ぶり首相交代で変化も
定数1人超は20年ぶり
任期満了に伴う大船渡市議会議員選挙は4月26日に投開票が行われた。定数20に対して21人が立候補し、少数激戦を展開。現職14人、元職2人、新人4人が当選。新人1人が苦杯を喫した。
昭和27年の市制施行以降18回目の実施で、平成13年の旧三陸町との合併後は5回目、同23年の東日本大震災後は3回目。告示直前まで出馬表明者が定数を上回らず、一時は初の無投票がささやかれた。定数を1人上回るだけの少数激戦は、20年ぶりとなった。
当選者を政党別にみると、無所属17人、共産2人、公明1人。在住地域は旧大船渡市内が16人、旧三陸町内が4人。新人女性候補の当選は、平成2年11月の補選以来で、市議選で初めて最多得票が2000票を超えた。
改選後初の5月の臨時議会では、第21代議長に光政会の渕上清氏(61)=無4期・盛町、副議長に新政同友会の三浦隆氏(60)=無6期・同=が選ばれ、監査委員には光政会の紀室若男氏(68)=無4期・末崎町=が就いた。
緊急事態宣言下で支持拡大苦戦
大船渡市議選は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言下での選挙としても注目を浴びた。告示以降、各候補者は、出陣式の動員を抑え、有権者との握手や個人演説会を控えるなど、感染防止を優先しながら活動。県は、4月23日から不要不急の外出自粛を求めるメッセージを出したが、投票は予定通り行われた。
各投票所でも、感染防止策を徹底。通常選挙では、記載台に鉛筆が置かれているが、今回は受付時に消毒済みのものが投票用紙とともに渡され、記載台に移動。記載台も、有権者同士が接しないよう1人分ずつ間隔を確保した。
各陣営の予想通り、投票率は伸び悩んだ、前回選より9・99ポイントも低い65・71%で、過去最低を更新。外出自粛の動きや、候補者数の少なさが要因とみられる。
今回の市議選は、有権者が投票所に出向き、一票を投じる〝当たり前〟を見直す必要性も浮き彫りになった。コロナ禍という特殊事情だけでなく、市内では高齢化が進行し、外出に不安を抱える住民が増えている。今後も続く各種選挙の投票率向上に向けて、実情に合った対策が求められる。
解散総選挙見据えた動きも
8月、安倍晋三首相が持病の再発を理由として辞任を表明。東日本大震災復興や新型コロナウイルス対応の旗振り役を務めるさなかの表明で、気仙でも驚きが広がった。
安倍氏は平成18年9月、戦後最年少の52歳で第90代首相に就任した。同19年の参院選で自民党は大敗。同年9月、持病の悪化を受けて退陣した。
24年に再び党総裁に就き、同年の衆院選で民主党から政権を奪還。経済政策「アベノミクス」、震災復興、東京オリンピック・パラリンピック誘致、消費増税などに取り組んだ。国有地払い下げにかかる疑惑などへの批判もありながら、「安倍1強」と例えられた長期政権を維持し、連続在任日数は2822日、平成18年の1次政権時を合わせた通算在任日数は3188日で、いずれも憲政史上最長だった。
その後、9月に行われた自民党総裁選で内閣官房長官の菅義偉氏が新総裁となり、第99代首相に就任した。
衆院議員の任期は来年10月21日まで。その満了へ1年を切り、解散総選挙の時期に注目が集まる中、これまでに立憲民主と国民民主が合流した新しい立憲民主党が結成。県連は小沢一郎衆院議員が代表に就き、政権交代への結束を呼びかけるが、社民の一部で合流を渋る動きもあり、共闘の行方も注目される。