気仙杉ふんだん 陸前高田アムウェイハウスまちの縁側 木材利用優良施設コンで知事賞に 隈氏設計の交流施設 気仙大工の技光る

▲ 気仙大工の技が光る「陸前高田アムウェイハウス まちの縁側」
表彰を受けた戸羽市長㊧(陸前高田市提供)

 陸前高田市高田町の複合型コミュニティー施設「陸前高田アムウェイハウス まちの縁側」が、本年度いわて木材利用優良施設コンクール(県、県木材需要拡大協議会主催)で最高賞の県知事賞(優秀賞)を受賞した。世界的建築家の隈研吾氏が設計し、気仙杉を使い、気仙大工の意匠を取り入れた施設は、市中心部に今年1月オープン。市民らが垣根なく利用する同市ならではの交流拠点が高い評価を得た。

 

 施主は、一般財団法人日本アムウェイ財団(東京都)と陸前高田市、設計者は㈱隈研吾建築都市設計事務所、施工者は㈱長谷川建設。
 表彰は22日に盛岡市の県民会館で開かれた「いわて農林水産躍進大会」で行われ、戸羽太市長や設計・施工の関係者らが出席。達増拓也知事が戸羽市長に木製の表彰状を手渡した。
 施設は日本アムウェイ財団が、東北の震災被災地支援プロジェクトの一環として整備。国立競技場の設計に携わった隈氏が設計、日本を代表するテキスタイルブランド「ミナ・ペルホネン」のデザイナー・皆川明さんがインテリアを担った。
 施設は木造平屋建てで、延べ床面積が約500平方㍍。総工費は約4億円。柱、はり、内壁、天井など気仙杉をふんだんに使っている。
 気仙大工の工法を応用した屋根が大きくせり出す「二段螺旋(らせん)せがい造り」によって、ひさしが深い独特の縁側空間を生み出した。JR陸前高田駅や商業施設「アバッセたかた」に近く、訪れる人の自然なコミュニケーションが図られることも期して、〝まちの縁側〟と名付けた。
 市観光物産協会による観光案内所、市社会福祉協議会による「くらし相談窓口」、NPO法人きらりんきっずが開設する子育て支援広場、就労継続支援B型事業所・あすなろホーム利用者による「はぴなろカフェ」が入り、高齢者や障害者、子育て世代などさまざまな市民らが利用。市と各団体が管理を担っている。
 同コンクールは、県内木材利用の推進を図るため、利用分野の拡大や特色ある木材利用に資する施設などを対象に毎年実施。
 本年度は審査の結果、県知事賞(優秀賞)に「まちの縁側」と久慈市情報交流センター「YOMUNOSU(よむのす)」、県木材需要拡大協議会会長賞に㈱アクール工業(雫石町)、といろ保育園(盛岡市)、同協議会奨励賞に宮古市田老総合事務所が選ばれた。
 戸羽市長は「地元の木材の素晴らしさや高度な技術、デザインなどを評価いただき大変うれしく思う。障害者によるカフェなどが入っており、さらに人が集まりやすいような環境を整えていきたい」と喜んだ。