地域挙げての活動を評価 鷹生川流域広域協定(日頃市)に県農地・水環境保全モデル賞
令和2年12月25日付 2面

大船渡市日頃市町の鷹生川流域広域協定(新沼時雄運営委員会長)が、本年度の県農地・水環境保全向上活動モデル賞を受賞した。地域内の自治会や水利組合が広域組織を形成し、住民を挙げて農地や周辺環境の保全を図る活動が県内の模範になるとして高く評価されたもの。新沼会長(76)らが22日、達増拓也知事から表彰状を受け取り、「今後も地域で前向きに進んでいきたい」と活動のまい進を誓った。
同モデル賞は、地域共同の力で農地や農業用水などの地域資源と農村環境を保全管理する活動の中から、県内の模範となる優れた取り組みを表彰するもの。本年度は鷹生川流域広域協定を含む県内の2団体が選出され、表彰は22日に盛岡市内で開かれた「いわて農林水産躍進大会」の席上で行われた。
鷹生川流域広域協定は、日頃市町内の鷹生、宿、平山3地域と、鷹生水利組合が合併し、令和元年度に大船渡・釜石管内で初の広域組織として発足。地域の農業者はもちろん、それ以外の住民も構成員となっている。
合併前は、各組織が国の多面的機能支払交付金を受けながら、農地や水路の保全といった各種活動に従事。しかし、いずれの組織でも高齢化が進み、担い手が不足。農業用施設が老朽化する中で、多発する自然災害への備えも必要となり、組織体制の強化が課題として浮かび上がった。
そこで、市や県の協力、指導を受け、平成30年度から広域化に向けて勉強会を開催。広域化のメリットや農作業事故防止などに関する知識を学んだり、各組織の代表者らで意見交換を重ね、昨年度に同協定が発足した。
発足後は農業者以外の構成員も加わり、水路の保全対策や長寿命化活動、地域内の一斉清掃、児童・生徒の営農体験学習、農地の拡大などを展開。地域の景観形成と生活環境の保全、啓発が図られ、課題だった事務負担も軽減化された。
表彰式に出席した船野学理事(74)は、「勉強会をしていた当時は、組織化が難しいと思えるときもあったが、何とか乗り越えられた。農作業の事故防止や保険の必要性なども学び、安全確保への意識も高められた」と振り返る。
新沼会長は、市や県の支えに感謝しながら、「わが地域が県のモデル活動として認められたのは、大きな喜び。当たり前のことをしてきたが、それはほかの地域に負けないものであり、模範として認められてうれしい」と笑顔。
「今後はほかの地域と交流も図り、活動を盛り上げていきたい。また、農業に楽しく取り組むためにも、さらなる会員拡大に努めたい」と意欲を見せている。