「夢の舞台で恩返しを」 東京国際大4年の熊谷選手(高田高出身) 来年1月の箱根駅伝 エントリーメンバーに選出
令和2年12月27日付 6面

第97回東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)は来年1月2(土)、3(日)の両日、東京―箱根間の往路107・5㌔、復路109・6㌔のコースで開催される。この中で、陸前高田市の高田高校出身で、東京国際大学駅伝部に所属する熊谷真澄選手(人間社会学部4年)がチームエントリーメンバーの16人に選出され、「最初で最後の箱根駅伝。与えられた役割を果たしたい」と意気込んでいる。
熊谷選手は、大船渡市立越喜来小・中、高田高を経て東京国際大に進学。高校入学と同時に本格的に陸上競技を始め、長距離選手として頭角を現し、3年生の県高総体では1500㍍、3000㍍障害で2冠を達成するなど、数々の記録を持つ。
同大に進学後は走る距離を伸ばし、さまざまな大会に出場。1年生では、箱根駅伝の7区で給水係を務め、「歴史ある大会の雰囲気を味わった。いつかこの舞台に立ちたいと強く思った」と語る。
しかし、現実は苦難の連続だった。2年生で中足骨骨折やひざのけがにより、約8カ月間の離脱を余儀なくされた。長きにわたるリハビリの末、3年生で復帰し、駅伝のメンバー入りを目指して調子を上げていたが、次は右足太ももの痛みや違和感で約7カ月の離脱。「本当につらかった」と振り返るが、それでも大舞台で走りたいとの思いから必死にリハビリを続け、今年の春にけがを克服。徐々に体を慣らし、夏から本格的にチームに合流した。
復帰後は着実に調子を上げ、今年11月に出場した第84回平成国際大学長距離競技会の1万㍍では、自己ベストとなる29分38秒27を記録するなど、好調を維持。メンバーに選ばれ、「メンバー入りする自信はあった。まずは一安心」と心境を語る。
現在は、本番に向けた走り込みなどでコンディションを整える。往路、復路を含め、出場するメンバー10人が正式に発表されるのは29日(火)だが、本番当日にメンバー変更される可能性もあるといい、「本番まで何が起こるか分からない。気を抜かずに準備したい」と話す。
また、箱根駅伝に出場経験のある兄・光さん(26)の存在も、熊谷選手の心強い味方だ。
高田高から東京国際大に進学した光さんは、5年前の第92回箱根駅伝で、復路の6区に出場。同区9位のタイムで大舞台を駆け抜け、たすきをつないだ。当時、高校2年生だった熊谷選手も応援に駆けつけ、憧れの舞台で力走する兄の姿を見て、「同じように箱根を走りたい」との思いを胸に刻んだという。
熊谷選手は「4年間けがばかりで苦しい時期もあったが、ここまで腐らずにやってこれたのは、つらい時に支えてくれた家族や仲間のおかげ。どんな状況でも走る準備はできている。最初で最後の夢の舞台。感謝や恩返しの気持ちを伝える走りをしたい」と誓う。
今大会は、新型コロナウイルス感染防止のため、主催する関東学生陸上競技連盟は、現地での観戦、応援を控えるよう呼びかけ。各区間の走者は、29日に公式ホームページ(https://www.hakone-ekiden.jp/)で情報が解禁される。