2020気仙この一年/記者の取材ノートより⑪【事故・事件】

▲ 窓ガラスが割られ室内を物色されるなどクマによる被害が発生した三陸町越喜来の民家(8月)

ツキノワグマの出没増加
人的、物的被害も多数発生


気仙での目撃は昨年の2倍以上

 

 本県全域に生息するツキノワグマ。近年は人里への出没が相次いでおり、気仙でも今年4月に入ってから目撃情報が増加。気仙3市町のクマ出没(通報)状況は12月1日現在、大船渡市が前年比74件増の99件、陸前高田市が同7件増の10件、住田町が同18件増の51件となっている。
 陸前高田市と住田町では人的被害はなかったものの、大船渡市では3件の被害が発生。6月に日頃市町の70代女性が親子のクマに襲われ重傷を負ったほか、8月には同町の養鶏場で箱わなにかかったクマの様子を確認していた猟友会の70代男性が、わなをこじ開け出てきたクマに襲われ全治1カ月のけが。11月には、三陸町綾里の市道を散歩中だった70代男性が、親子の親グマに足をひっかかれ軽傷を負った。
 また、8月には、同町越喜来の民家でクマによるものと思われる物的被害が立て続けに発生。窓ガラスや家の戸が壊され、冷蔵庫の食べ物や生ごみが物色された。
 これを受け、大船渡警察署や市役所では、定期的なパトロールや防災無線での警戒広報を実施。市内で開かれた高齢者教室などでは、専門家を講師としたクマの被害対策についての講座を行うなど、地域住民らが警戒を強めた。


人身、物損事故ともに減少

 

 大船渡署がまとめた管内の交通事故状況によると、本年11月末までの累計で、人身事故は前年同期比10件減の49件。傷者は同16人減の54人、死者は1人で、物損事故は同188件減の755件となっている。
 10月には、大船渡市三陸町越喜来字小泊地内の市道でごみの収集作業をしていた陸前高田市の40代男性が亡くなる交通事故が発生。緩やかな坂道の途中に停車した車両後方で、男性がごみを積み込んでいたところ、突然後退してきた無人の収集車にひかれた。
 3市町の交通死亡事故ゼロ日数は11月末現在、大船渡市が52日、陸前高田市が783日、住田町が1080日。住田町は、平成29年12月16日から今月16日まで3年間の死亡事故ゼロを達成し、県警から賞賛状が贈られた。
 6月30日からは、全国的に問題視されている「あおり運転」を厳罰化した改正道路交通法が施行。あおり運転を新たに「妨害運転罪」と規定するもので、気仙でも交通安全関係者らが周知、啓発活動にあたった。


大船渡町の壽限無亭が全焼

 

 1月5日夜、大船渡湾を一望できる自然豊かな高台にあり、市内外からの来訪者の交流や子どもたちの自然体験、レクリエーションの拠点施設として親しまれてきた大船渡市大船渡町字鷹頭のログハウス「壽限無(じゅげむ)亭」が全焼。消防職・団員らが消火にあたったが、道路環境や水利が悪く、木造2階建てのログハウスや作業場など合わせて約76平方㍍を全焼したほか、周囲の山林2179平方㍍も焼いて、出火から約4時間後に鎮火した。けが人はなかったものの、地域に愛されてきた施設の焼失に、各方面から惜しむ声が上がった。
 大船渡地区、陸前高田両消防本部によると、気仙管内で今年発生した火災は今月28日現在で8件。前年同期の11件を下回る値で推移している。