リアスホールが開館後初の大規模改修へ 舞台音響設備を更新 2カ年で施工 大ホール10~12月利用停止
令和3年1月8日付 1面

大船渡市民文化会館・リアスホールは、今年から来年にかけ、平成20年の開館以降では初となる大規模な改修事業に入る。10年以上使用してきた舞台音響施設の更新が主な目的。入力系の工事を行う第1期改修に伴い、大ホールは今年10~12月に利用停止を予定しており、住民や各種文化団体の関係者らに理解を求めている。
合併前の同市は、公立の文化会館施設を持たなかった。長年にわたり整備要望が出ていた中、平成13年の三陸町との合併に伴い策定した合併建設計画に市民文化会館と市立図書館建設事業が登載され、構想から具体的な整備準備へと動き始めた。
建設事業は16年度から本格化。総事業費は約50億円で、主な財源は合併特例債が約34億円、国からのまちづくり交付金が約11億円、市民会館建設基金4億円が充てられ、平成20年11月に開館した。
施設のうち、大ホールは音楽、演劇、古典芸能、講演会、映画会などさまざまな催し形態に合わせた多機能施設。最大客席は1100席で、多彩な公演が行われてきた。このほかに、マルチスペースや展示ギャラリー、スタジオなども入る。
令和元年度のリアスホール全体の利用者数(図書館除く)は1826団体、7万9582人。このうち、大ホールが161団体、4万4732人を占めている。
大ホールの舞台音響施設は、開館時に当時の最新技術による設備を導入し、定期保守点検などを実施しながら維持管理を図ってきた。
一方で、長期間の使用による構成部品などの劣化が進み、音の「ゆがみ」といった不具合が頻発するなど、設備やシステム全体の信頼性が低下しつつある。一般的に音響機器は10~15年、スピーカーなどは5~10年の更新が望まれるという。
機器を管理するコンピューターシステムのソフトウェアは、サポート期間が終了した旧版を使用している。音響調整卓などの構成部品も、すでに製造していないものが増え、補修等部品の入手も困難になりつつある。最悪の場合、施設利用の緊急停止といった事態を招く状況も懸念されるという。
入力系が主となる第1期工事は今年10~12月に実施。音響調整卓の入れ替えに加え、現在では標準的となった光回線による音声のネットワーク化を図る。プロジェクター設備の更新も行い、講演などで映像を示す際の画質向上などにつなげる。概算工事費は約1億8000万円。
第2期工事は、令和4年度の前半に計画。主にスピーカーなど出力系の整備を行い、水平方向への音を均等に出力し、複雑な客席構造でも隅々まで音が届く「ラインアレイ方式」を導入する。
同館によると、例年1~3月に消防出初め式や成人式、東日本大震災追悼式など大ホールでの催事開催が続く。さらに、来年3月には全国椿サミット大船渡大会が控えていることも考慮し、第1期の利用停止時期を定めた。
金野優子館長は「昨年は新型コロナウイルスの影響を受け『今年こそ』と思っていた団体も多く、心苦しい部分はあるが、理解を求めていきたい」と話す。
大ホールは、利用日の1年前から予約が可能。例年秋に利用している各種文化・芸術活動団体などからの問い合わせには、開催時期の前倒しも打診しているという。利用に関する問い合わせは、同館(℡26・4478)へ。