情報発信役にママさん奮闘 ライター活動に挑戦 気仙の歴史や文化の記録化へ 今月中にサイト開設

▲ がんづき作りについて新沼さんから説明を受ける國保さん㊨

 気仙両市に住む子育て世代の女性有志らが、地元にまつわる歴史や文化を知り、次代を担う子どもたちのために記録に残そうと、「ママさんライター」として活動している。郷土料理の作り方をはじめライター自身の関心事を掘り下げた情報は、今月中に立ち上げるウェブサイトに随時掲載する予定。子育てに奮闘する母親の活躍の場を創出しながら、情報発信を通じて気仙への関心を高めていく構想だ。

 

 ライターは地域のママさんに加え、東日本大震災後気仙にU・Iターンした移住者ら約20人が担う。陸前高田市の一般社団法人・トナリノ(佐々木信秋代表理事)がメンバーを募り、昨年10月に「地域取材チーム」として発足した。
 8日は、大船渡市立根町の主婦・國保知美(さとみ)さん(33)が、ライターとしての活動に初挑戦。高田町のコワーキングスペース「ヤドカリ」に、大船渡町の新沼寿子さん(73)を招き、郷土菓子「がんづき」の調理法を教わった。
 5歳、3歳、生後5カ月の3児の母。もともとライターの活動に興味があり、チームの一員となった。
 「祖母が作るがんづきが好きで、取材するならその味を地域の人から教わりたいと思った」と國保さん。材料や調理手順など熱心に話を聞きながらメモを取り、完成品などの写真を撮影し、「料理だけではなく、いろいろな話も聞くことができて楽しかった」と笑顔で話した。
 原稿の執筆に向け、「新型コロナウイルスの影響で家で過ごす人が増えている。そうした時間を使って教わったがんづきを作ってもらえるよう情報発信したい」と意気込む。
 メンバーは、地元の高齢者ら10人ほどから震災前の暮らしや食文化などについて話を聞いてきた。専用のウェブサイトは今月末までに開設し、米崎町の陸前高田グローバルキャンパス内に取材内容の一端を伝えるパネルも展示する。
 気仙3市町の子育て情報をまとめたサイト「なないろプレス」にも活動日記を掲載し、周知に当たる。
 取材チームの活動をサポートしているトナリノスタッフの松本麻以さん(37)は「子どもたちのために未来に残したい歴史や文化が気仙にはたくさんあり、その中には取材しないと知り得ない情報も多い。ライティングの活動は楽しいし、地域の愛着形成にもつながる。多くの人に参加してほしい」と呼びかける。