低速電動バス「満足」7割 2週間で延べ571人乗車 市が昨年試験運行 利用者アンケート分析

▲ 昨年11月に市内を試験運行した低速電動バス

 陸前高田市は、昨年11月に取り組んだ「グリーンスローモビリティ(略称グリスロ)」実証事業のアンケート調査結果の分析を進めている。グリスロは時速20㌔未満で走る低速電動バスなどの新たな交通手段を指し、同市は来年度以降の実用化を検討している。2週間の運行で延べ571人が乗車し、利用満足度について「満足」と回答したのは70%に達した。

 

 グリスロは環境への負荷が少なく、狭い路地も通行が可能で、高齢者の移動手段の確保や観光客の周遊に資するとして、国が普及を進めている。
 同市での試験運行は、昨年1月に続いて2回目。国土交通省による実証調査支援事業の選定を受けて昨年11月3〜16日に実施し、国から10人乗り1台の無償貸与を受けた。
 土、日曜日・祝日は、道の駅「高田松原」〜アバッセたかた間を7往復。平日は「地域の足」としての利便を確かめようと、高田町の災害公営住宅の下和野団地、中田団地から県立高田病院やアバッセまでのルートを巡った。
 低速走行により、高齢者や子どもでも安心して移動できる高い安全性や、周辺の風景、街並みをゆっくりと観賞できるのが特徴。排出ガスゼロに加え、屋根に設置している太陽光パネルで走行しながらバッテリーを充電できる仕様となっている。
 市が実施したアンケート調査は全利用者(延べ571人)のうち延べ243人が回答。回答率は42・6%となった。
 それによると、1日平均利用者数は約40人。土、日・祝日便は1日当たり60〜80人台に上った一方、平日便は最大35人にとどまり、1桁台の日もあった。
 電気バスの利用満足度については、全体の70%が「満足」と回答。以下、「どちらかといえば満足」22%、「どちらでもない」5%、「どちらかといえば不満」2%で、「不満」はゼロだった。
 「グリスロが地域に必要か」の問いには「必要」が60%、「将来的には必要」が25%、「運行ルート等を見直せば必要」が14%、「必要ない」が1%となった。
 グリスロは長距離の運行に不向きで、市はタクシーやバスなど既存の交通手段を補完する位置づけで実用化を探る。中心市街地、道の駅「高田松原」、商業施設「陸前高田 発酵パークCAMOCY(カモシー)」を周遊させるルートなどを検討している。
 市政策推進室政策広報係の菅野隼係長は「実証事業を踏まえ、一定の需要があると考えている。地域に根ざした運用を検討しなければいけない。利用対象やルートの設定など分析をしっかりと進めていく」と先を見据える。