気仙3市町で631人が大人の仲間入り 陸前高田と住田で成人式 大船渡市は式典中止に(別写真あり)

▲ マスク、フェースシールドを着用して式に臨んだ新成人たち=住田町(町提供)

 住田町と陸前高田市で10日、成人式が開かれた。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、大船渡市は式典の開催を中止。住田町は規模縮小を図り、陸前高田市では新成人の参加を実行委員会のメンバーに限定した。新型ウイルス感染防止で成人式への対応が分かれた気仙3市町では今年、合わせて631人が新成人を迎え、大人としての第一歩を踏み出した。(6、7面に関連記事)

 

社会の一員として成長誓う/住田

 

 住田町の成人式は、世田米の農林会館大ホールで開かれた。新成人たちは、〝コロナ禍〟に見舞われている中、人と人との絆や日常の大切さを改めてかみしめながら、社会の一員としてさらに成長していくことを誓った。
 同町の成人式は例年、気仙3市町では唯一、お盆の帰省時期に合わせて開催されており、一昨年は8月11日に県内トップを切って行われた。
 新成人は県外への進学・就職者も多く、例年であれば6月ごろに新成人による実行委員会を立ち上げているが、新型ウイルスの影響によってそれも難しくなったため、当初、昨年8月15日に予定された式典を1月に延期した。
 今年の対象者は52人で、式典にはこのうち33人が出席。新型ウイルスの感染防止のために一般公開はせず、新成人と少数の関係者のみでの開催となった。
 成人式開催に当たり、町では新成人への案内状に「成人式までの2週間は感染リスクの伴う行動は避ける」などといったガイドラインも合わせて送付。
 また、式典会場を昨年までの町役場からより広い農林会館としたほか、会場内でのソーシャルディスタンス確保、マスク、フェースシールドの着用など対策を徹底した。
 式では、出席した新成人を一人ずつ紹介したあと、神田謙一町長が「若い皆さんには無限の可能性が秘められている。失敗や挫折は、時に心をくじくこともあるが、おのおのの目標や夢、理想を追い続け、自分らしく果敢に挑戦し続けてほしい。それが明日の社会、そして明日の住田を明るくする原動力となる」と式辞。
 瀧本正德町議会議長、恩師による祝辞に続き、新成人を代表して大山友樹さん(20)=北日本ハイテクニカルクッキングカレッジ2年、上有住出身=が答辞。「成人として晴れの門出を迎えた今日、社会人としての自覚と責任を再認識し、それぞれがそれぞれの道で理想を掲げ、希望を胸に明るい未来へ歩んでいくことを誓います」と力強く決意を述べた。
 この日は式典の様子を、YouTubeで家族・関係者に限定して配信。入場できなかった保護者たちも、動画を通して新成人たちの晴れ舞台を見守っていた。
 実行委員長の会社員・髙橋采生さん(19)=世田米=は「無事に成人式を迎えられたことがとれもうれしい。今回の成人式は、コロナの影響で参加することができない友人や恩師が数名いた。残念な気持ちは残るが、協力してくださった教育委員会の方々と友人たちには感謝の気持ちでいっぱい」と話していた。

 

「支える側」の決意示す/陸前高田

 

 陸前高田市の令和3年成人式は、高田町の市コミュニティホールで開かれた。新型コロナウイルス感染防止対策として、208人の新成人対象者のうち、参加者を実行委(吉田怜央委員長)メンバーに限定し、式典や記念行事の様子をインターネットでライブ配信した。

成人式に臨んだ実行委メンバー=陸前高田市

 戸羽太市長は「東日本大震災から3月で10年。新成人の皆さんもこの10年間はそれぞれ大変な思いをしてきたと思う。コロナで大変な戦いが強いられる中で新たな取り組み、出会い、気付きを見いだすことが大事だ」と式辞。来賓の福田利喜市議会議長が祝辞でエールを送った。
 「成人の誓い」では、宇都宮大2年の金野竜大さん(20)=米崎町出身=が「陸前高田に、世界に貢献できるよう、感謝と挑戦を大切にしながら人生を楽しんでいく」、東北医科薬科大2年の鵜浦史江さん(20)=高田町出身=が「将来は、今後ますます重要となってくる地域医療を支える人材となれるよう頑張る」とそれぞれ力強く述べた。
 記念行事のテーマは、若い世代がこれまでの伝統を引き継ぎ、希望あふれる未来を築こうと、「未来をつくる。未来へつなぐ。」に決めた。中学校時代の恩師からのビデオメッセージが放映された。
 実行委副委員長の会社員・大谷一真さん(20)=気仙町=は住田高卒業後、大工職人を目指し宮城県気仙沼市の工務店に勤務。「覚えることばかりだが、やりがいが大きい仕事」と胸を張る。
 震災の津波で今泉地区の自宅が被災し、長らく仮設住宅で生活してきた大谷さんは、「これまでは家族や職場、学校の先生などに励まされて生きてきた。今度は自分が支える側になりたい」と成人としての抱負を語る。