優れたデザイン・技に触れて 建築にスポット 観光物産協がスタンプラリー

▲ 「りくぜんたかた建築めぐり」を企画・制作した大林さん㊨と種坂さん

 陸前高田市観光物産協会(金野靖彦会長)は、市内の建物巡りをテーマとしたスタンプラリーを企画し、気仙杉を使用したスタンプ台紙やフォトブックなどのセット「りくぜんたかた建築めぐり」(税込み800円)の販売を21日から始める。同市内には気仙大工の伝統の技が息づく建物のほか、震災後は世界的に活躍する隈研吾氏らが手掛けたものも加わり、新たな観光コンテンツとして〝建築〟がクローズアップされる。同協会では「陸前高田の新たな魅力を探ってみてほしい」と、多くの利用を呼びかけている。

 

きょうからセット販売

 

各施設で台紙にスタンプを押せる

 スタンプラリー用のセットは、気仙杉で作られ、はがきとしても使えるスタンプ台紙と、建築物の紹介冊子「建築めぐりフォトブック」(A5判、16㌻)、スタンプ設置場所や詳細を記したリーフレットの3点。同協会事務局次長の大林まい子さん(46)が発案し、陸前高田ほんまる㈱所属のデザイナー・種坂奈保子さん(34)がデザインを担当した。
 冊子では「著名な建築家」が設計、建築に関わった施設について説明。隈氏が設計した「まちの縁側」(高田町)や、伝統の技を伝える「気仙大工左官伝承館」(小友町)、平成29年にグッドデザイン賞を受賞した市立高田東中学校(米崎町)など7カ所をピックアップし、地図に落とし込んだ。スタンプは高田東中を除く6カ所分を用意。それぞれの建物をイラスト化してある。
 大林さんと種坂さんが、陸前高田の観光コンテンツとして建築を取り上げたのは、2年前に「三陸観光プランナー養成塾」(公益財団法人・さんりく基金三陸DMOセンター主催)で地域の建築物を巡るツアーに参加したのがきっかけ。
 昨年春から冊子などの制作を本格化させ、市とも相談しながら内容を詰めた。セットは当初、昨年秋ごろの販売開始を目標にしていたが、新型コロナウイルスの影響で延期していた。このほど500セットの準備が整い、満を持して販売をスタートさせる。
 種坂さんは「気仙大工で有名な陸前高田には、さまざまな建築家のおもしろい建物がたくさんある。冊子は、デザインはもちろん紙質にもこだわり、女性でも気軽に手に取れるような内容を心がけた。建築に興味を持つ人が増え、地元の人の自信につながるきっかけになればうれしい」と期待する。
 大林さんは「建築を観光コンテンツにしている地域は、なかなかないと聞いている。まだまだ紹介したい建物はたくさんあるので、第2弾も見据えながらスタンプラリーを広く発信していきたい」と意気込む。
 セットは、高田町のまちの縁側内の観光案内所と交流施設・ほんまるの家、気仙町の陸前高田発酵パークCAMOCY(カモシー)内の陸前高田マイクロブルワリーの3カ所で販売。
 21日時点でスタンプが押印できるのは▽まちの縁側▽ほんまるの家▽市コミュニティホール(高田町)▽気仙大工左官伝承館▽箱根山テラス(小友町)──の5カ所。後日、高田松原津波復興祈念公園国営追悼・祈念施設(気仙町)の観光案内所にも設置する。
 スタンプラリーについての詳細は、同協会の公式ホームページ「高田旅なび」(https://takanavi.org/)でも紹介。
 問い合わせは同協会(℡54・5011)へ。