ふるさと納税額 過去最高 昨年12月末で初の5億円突破 巣ごもり需要が追い風

 陸前高田市は、昨年12月末時点のふるさと納税「陸前高田がんばっぺし応援寄附金」実績をまとめた。寄付額は5億9891万円と前年同期比1・6倍で、同市としては初の年間5億円を突破した。新型コロナウイルス感染拡大による「巣ごもり需要」の高まりが追い風になったとみられ、例年最も寄付が寄せられる12月も好調を維持し、過去最高を更新した。3月で東日本大震災発生から丸10年。被災地に関心が集まる節目を見据え、同制度のPRに力を入れる。

 市によると、本年度の月ごとの寄付額は、前年同期より約1・2倍~約2・5倍で推移。高品質を誇る地元水産・農産物が特に人気を集めているという。
 昨年12月の実績は、前年同月比58%増の約3億2900万円で同月として歴代最高を記録し、年間の5割超を占めた。1~12月の1年間で行った寄付が所得税や住民税の還付・控除の対象となるため、例年年末にかけて駆け込みで寄付が集中するが、本年度は特に寄付件数が多かった。
 ふるさと納税は、出身地や応援したい特定の自治体に寄付できる制度。寄付額から2000円を引いた金額が、自治体の住民税、個人税から控除される(上限あり)。都市と地方の税収格差を埋める目的で始まり、自治体にとっては行政予算を増やすことができ、返礼品を通じて地元の魅力をPRできる。
 市は平成20年度に始め、東日本大震災後の中断を経て、27年7月に受け付けを再開。返礼品の梱包(こんぽう)・発送作業を気仙両市の授産施設が担うなど、障害者の就労の場も創出している。
 寄付額は28年度から毎年4億円台で推移。納税者が選べる寄付金の使い道は「子ども支援」「農林水産業・商工業などの振興」など九つの分野を設けている。
 総務省による返礼品基準の見直しを踏まえ、市は本年度に入り、返礼品や提供事業者に関する登録の基準を明確化させた。市に登録申請し、承認を受けたうえで返礼品を提供できる流れとなっている。
 返礼品取り扱い業務は、陸前高田地域振興㈱と北上市の㈱フロムゼロの共同企業体「ふるさと陸前高田」が担っている。返礼品の拡充にも力を入れ、昨年3月末に約300品だった品数を約560品に増やした。寄付者に返礼品情報や同市の復興の様子などを伝えるダイレクトメッセージ配信も定期化し、復興支援や寄付に対する感謝の発信にも取り組んでいる。
 市商政課ブランド推進係の丸岡正則主査は「寄付金は返礼品を提供する事業者にも還元され、コロナ禍で冷え込む市内経済の活性化にも寄与すると考えている。ポータルサイトでは返礼品とともに事業者が震災を乗り越え、頑張っているという情報も伝え、陸前高田のファンを増やしていきたい」と話す。
 平成27年度以降の年間実績は別表(本年度は昨年12月末時点)の通り。